学級問題を解決する エンカレッジシート(10)生徒の自ら考える力を信頼

北海道公立学校スクールカウンセラー 青沼 眞弓

エンカレッジシートは大変シンプルだが、淡々と進める必要がある。実施に際して、教師が学級の問題に対する思いや解決への期待を述べると、生徒の記述に影響するからだ。

例えば、生徒の「なぜ、今これをするのか?」「これをやって何か変わるのか?」「この問い③はどのように書けばいいか?」などの質問・疑問に、教える立場にある教師は答えたくなるが、個別の質問に答えてはいけない。「学級に起きていることを考えてほしいと思います」「『テーマ』や『例えば……』を考えながら記入してください」を繰り返し教示する。

今後もエンカレッジシートの開発・実践は、これから活用しようと考える教師、既に実践してきた教師と共に進めていきたい。この連載では中学生を主な対象として紹介したが、これからは小学校高学年と高校での活用の適性を、実践する教師らと一緒に検討していきたい。

また、予防的・育成的な視点での学級づくりへの活用については、実践を共有する研修を重ねていこうと考えている。例えばこんな活用事例がある。学級のルールがほころびかけている状態で実施した際、問い④の「勇気づけの意見」に、学級の仲間に向けたさまざまな勇気づけが書いてあったという。その後の学級は、係活動や全体の動きの中で声を掛け合う機会が増え、徐々に雰囲気が変わっていったそうだ。エンカレッジシートの実施においては生徒の記述内容に注目しがちだが、一連の取り組みと、生徒の行動や学級の雰囲気の変化も注視してほしい。

新しい技法(ツール)が理解されるには時間がかかる。だが実践開発に注力すれば、学級の問題解決をサポートできるツールとなり得るのではないか。そう考え、今年度より実践経験者の仲間たちとエンカレッジプロジェクトを立ち上げた。ホームページはまだ簡素だが、実践した教師との意見交換や新たな実践者の活用サポート、研修の発信などを構想している。

最後に、現在、さまざまな学級の問題が顕在化しているが、生徒たちの「自ら考える力」を信頼したいと思っている。エンカレッジシートによって学級のつながりが深まり、生徒たちが主体的に行動する一助となれば幸いである。最後まで読んでくれた読者に深謝し、筆をおきたい。

(おわり)

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