「書く力」で子供を伸ばす(6) 行事作文の指導

関西学院初等部教諭 森川正樹

遠足や運動会、音楽会などの後に書かせるのが「行事作文」だ。

このとき、約束事のように書かせるだけでは力が付くどころか、どんどん作文が嫌いになる子さえ出てしまう。「書かされる行事作文」からの脱却が必要だ。

対話でテーマを絞らせる

いきなり原稿用紙を配って書かせるのではなく、まず以下のような対話をする。

(教師)運動会、と聞いてパッと思い出す光景を言ってもらいます。はい(列の先頭を指名)。

(児童)お弁当……。

(教師)お、お弁当! い、いいでしょう。正直でよろしい。次!

(児童)おにぎりが美味しかった……。

(教師)お弁当やないか! これは挑戦か。

(児童)やっぱりリレーのときに……。

(教師)やっときたよ。リレーのときに!

(児童)バトンパスがうまくいったことです。

(教師)ずっと練習していたよねえ。練習ではどうだったの?

(児童)私のペアは、ずっとラインから出ちゃって……。

(教師)いろいろなエピソードの上に本番での成功が成り立っているわけね。はい、次。

(児童)ソーランです。めっちゃ燃えました!

(教師)めっちゃ燃えた! いいねえ。次。

(児童)応援合戦です。

(教師)当然だ。応援団だったもんなあ。……という具合に、今、思い浮かんでいる出来事だけを書きます。今から運動会作文を書くよ。

ここまでが「作文を書くよ」と宣言するまでのやり取りである。書く出来事はできるだけ少なく、一つか二つに絞る。

技能は一つか二つ

作文の際に押さえる技能も一つか二つにする。それが積み重なって、3学期には複数の技能を使いこなして作文が書けるようになる。

例えば「今回は会話文を必ず入れましょう。そのときその瞬間に話していた内容をよく思い出して、できるだけリアルに再現します」と言って、技能を会話文に絞る。

また「今回は〈うれしかった〉〈くやしかった〉といった、思いをそのまま表す言葉は使いません。その代わり〈行動〉で気持ちを表してみます」と、描写に特化してもよい。

1対1の添削はほどほどに

行事作文を書かせた後、誤字脱字をはじめ、段落や文のねじれなどを指摘する1対1の添削に突入してしまうと、地獄のような作業が待っているのでお勧めできない。

やはり「教師が続くこと」が大切だ。それに、間違いを添削しすぎて「0点の答案」のようになってしまっても、受け取った本人がつらい。明らかに間違っている字は横に書いてやり、できる範囲で改行指示を書き込みながら、教師が良いと思う箇所に線を引き、丸を入れる。最後にプラス面、マイナス面一つずつコメントを入れる。

最後は一斉指導

全員分の作品を見終え、子供たちの間違いや改善点の傾向が見えてきたら、全体に一斉指導として返す。行事作文のこつは「焦点を絞る」ことである。