18歳になる前に―考え、関わる社会の問題(9)模擬選挙をやってみよう

東京都立高島高校教諭 大畑 方人

18歳選挙権の導入を機に、模擬選挙を実施する学校が増えてきた。筆者は2005年のいわゆる「郵政選挙」以来、実際の選挙を題材とした模擬選挙にたびたび取り組んできた。生徒の政治的関心を高め、主体的な投票行動を促す点で非常に学習効果が高いと感じている。

具体的な授業展開は①公示日のニュース映像を視聴し、各党首の第一声を確認②第一声に関する新聞記事を読み、各党首の主張に対する評価をワークシートに記入③各政党の政策比較表(各新聞社が作成したものなど)を読み、その評価をワークシートに記入④グループで各党の政策について話し合う⑤ボートマッチ(毎日新聞「えらぼーと」など)を使用して自分の考えに近い政党を確認⑥実物の記載台と投票箱を使って投票を体験――である。

このような模擬選挙をする場合、政治的中立の確保が必須の条件になる。筆者の場合、「S・V・O」を意識した授業で中立性を担保している。

第一に、政策の比較検討は生徒自身に行わせ(Self)、教員が政策の内容を解説するのは避ける。

第二に、生徒の判断材料となる多様な資料を準備する(Variety)。具体的には先に示したようなニュース映像、新聞記事、政策比較表、ボートマッチなどを活用するとよい。

第三は、外部との連携(Outside)である。例えば、17年の衆院選を前に実施した模擬選挙では、政治の話題を分かりやすく報道する「POTETO Media」と連携。事前学習の一環として集団的自衛権をテーマにした主権者教育プログラムを実施した。

ここで、実際の選挙を題材にした模擬選挙の意義にも触れておきたい。実際の選挙を題材にする場合、政治的中立を確保する必要があり、教材準備で教員の負担が大きくなるのは否めない。そのため、架空の選挙を題材にした模擬選挙を実施する学校も多いようだ。

ただ、筆者は生徒たちの政治的判断力を高め、主体的な投票行動を促すには「リアルな政治」を扱うことが重要だと考える。生徒に聞いてみると、「生の模擬選挙」を体験したからこそ、実際の選挙の際に投票所に足を運んだという者が非常に多い。今後も各学校で実際の選挙を題材にした模擬選挙の普及が望まれる。