小学校から高校までを1冊に「キャリア・パスポート」が描く軌跡(3)教育活動の特質に応じて実践

筑波大学教授 藤田 晃之

新学習指導要領の方向性を示した中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(2016年12月)は、キャリア・パスポートの導入を求めた際、「特別活動を中心としつつ各教科等と往還しながら、主体的な学びに向かう力を育て、自己のキャリア形成に生かすために活用できるものとなることが期待される」と述べた。

さまざまな場面ごとにシートがある愛知県の「航海ノート」

これを受けて告示された新指導要領の総則では、「特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること」と定めている。

「要(かなめ)」とは、そもそも「扇の骨を留めるのに用いるくぎ。また、扇の骨を留める場所」(大辞林)という意味を持つ。まず扇面と骨があって、それがばらばらにならないようつなぎ留めるのが要の役割である。仮に、無理やり要だけの扇を作ったところで使い道はないだろう。

同様に、キャリア教育の実践は学校行事や児童会・生徒会活動を含む特別活動のみならず、各教科や総合的な学習(探究)の時間、部活動など、幅広い教育活動を通して実践されるものである。

当然、キャリア・パスポートの記録や蓄積も、それぞれの教育活動の特質に応じて行われることになる。

この点は、今年3月に文科省が出した事務連絡「『キャリア・パスポート』例示資料等について」に添付された「『キャリア・パスポート』の様式例と指導上の留意事項」で、次のような指摘をしている。

〇キャリア教育は学校教育活動全体で取り組むことを前提に「キャリア・パスポート」やその基礎資料となるものの記録や蓄積が、学級活動・ホームルーム活動に偏らないように留意すること

…学級活動・ホームルーム活動以外の教科・科目や学校行事、帰りの会やショートホームルーム等での記録も十分に考えられる

〇学級活動・ホームルーム活動で「キャリア・パスポート」を取り扱う場合には、学級活動・ホームルーム活動の目標や内容に即したものとなるようにすること

…記録の活動のみに留まることなく、記録を用いて話し合い、意思決定を行うなどの学習過程を重視すること

学級活動やホームルーム活動では、話し合いを生かしながら、自己の課題解決や将来の生き方を描くために、児童生徒が自ら意思決定して実践することが大切である。

この基本を踏まえずに、キャリア・パスポートにひたすら書き込んで終わることのないよう、慎重に進めなければならない。