「書く力」で子供を伸ばす(10) 「書く」は人生を変える!

関西学院初等部教諭 森川正樹

私にとっての「書く」

私にとって書く行為は、自分を向上させるための習慣になっている。それはもはや愛着に近いかもしれない。書くことが好きなのだ。小さい頃からずっとメモを取っているし、教師になってからはメモはもちろん、ずっと授業記録を取っている。

「書く」は自分を見つめ、経験を固定し、自分を変えていく行為である。「書く」は常に思考を促す。常に当事者意識を持って考える習慣が身に付く。

教師になろうと思っていた学生の頃、「教師になったら自分が続けている、〈書く〉ことのすてきさを伝えよう」、そう思っていた。その後、さまざまな書くこと指導を続け、今に至っている。

教師自身の「書く」

①メモ

「子供たちの声が聞ける教師に」と、大学の講義や先輩から言われた経験があるだろう。どうしたら子供たちの声が聞ける教師になれるか。私の場合は「メモ」だった。子供たちの「すてきな発言・行為」をその場でメモしていった。

これは今でも続いているが、メモし続けていくと向こう(子供の発言)の方から自分に飛び込んでくるような感覚になった。

②授業記録

誰かに見せたり、話したりするものではないようなことこそ自分を伸ばす。私は新任のときから「授業記録を書く」ことを続けている。

最初は授業ノートに手書きで書いていたが、ここ数年は授業の合間や放課後に「ポメラ」(キングジム製)というデジタルメモに打ち込むスタイルになっている。

抜ける日もあるが、できるだけ自分が授業の雰囲気をまとっているうちに書くようにしている。

大切なのは、自分が分かる記号を決めて、必ず「気付き」を書き込んでおくことだ。例えば、授業行為や子供の発言を思い出しながら「★板書しなければ」「★子供の発言を待てなかった」などと書いていく。★の記号を付けるのは気付きにだけ。すぐに戻れるようにするためである。

③授業起こし

自分の授業を録画して、再生しながら文字化する。最初の10分を再現するにもどれだけ時間がかかることか……。しかし、この作業は絶対に行った方がよいと考えている。教師自身が「言葉」を意識するようになるからだ。文字化することで、「しゃべりすぎだな」「発問が言うたびに変わっているな」といった点を日々意識するようになり、授業力が向上する。

「書くこと」は私の人生を変えてきた。それは経験上言い切れる。だからこれからも自ら書きながら、「書くことは素晴らしい」と実感を持って子供たちに伝え続けようと思う。

(おわり)