小学校から高校までを1冊に「キャリア・パスポート」が描く軌跡(6)学年・学校間の引き継ぎと活用

筑波大学教授 藤田 晃之

「キャリア・パスポート」には、児童生徒の個人情報が含まれると想定される。そのため、原則的に学校が管理・保管する必要がある。紛失や破損などの事故、児童生徒間の心ない落書きや書き込みを未然に防止する上でも有効だろう。

キャリア・パスポートは、学年間や校種間の確実な引き継ぎが不可欠である。学年間ならば担任同士で引き継ぐことになるが、校種間ではそれぞれの地域や学校における「創意ある措置」が求められる。

例えば、公立の小学校から中学校へ引き継ぐ場合、指導要録と同様に取り扱い、学校間で直接やりとりできるようにするといった工夫がほしい。

大分県が導入している「自分を知ろうカード」

中学校から高校への引き継ぎでは、多くの場合、中学校卒業時に生徒に渡し、高校では入学式前後の早い段階で提出を求め、生徒理解に活用するという形になるだろう。

その際、入学式当日の必携品にキャリア・パスポートを指定しておき、入学予定者への周知を徹底するなどの工夫が必要である。

教師にとってキャリア・パスポートは、担任する児童生徒のさまざまな面に気付き、個々の理解を深めていく上で貴重な資料になる。とりわけ校種間で引き継いだものは、重要な情報源の一つとなろう。

例えば▽中学校・高校で努力したいこと▽将来の展望に関する記述▽これまでの学校内外での諸活動(児童会・生徒会活動、クラブ活動・部活動、ボランティア活動、職場体験活動)の振り返り――などは、入学して間もない時期の二者面談・三者面談に生かせるだけでなく、学級経営・ホームルーム経営やインターンシップの計画立案にも役立てることができる。

また、上級学年・学校で確実に活用される収録シートを学年間・学校間で取り決めておき、有効活用する方策も考えられる。具体的な例を挙げてみよう。

大分県では、県内全ての小学校6年生が、3学期の学級活動の話し合いを基に記入する「自分を知ろうカード」(A4判両面刷り1枚)を作成している。このカードは進学先の中学校に引き継がれ、県内の全中学校で生徒理解の資料として活用されている。

カードを開発した大分県中学校教育研究会進路指導・キャリア教育部会では、中学校1年生の12月にカードを使った学級活動を行うよう推奨している。生徒にとっては、小学生の頃の記録を振り返りつつ、8カ月間の中学校生活の自分の成長や変容を自覚する有意義な機会となっている。