新たな時代のキャリア教育(3)子どもの内面を捉える視点

認定NPO法人キーパーソン21代表理事 朝山 あつこ

前回、野球にわくわくすると答えた3人の中学生の話を紹介しました。彼らA君、B君、C君に、それぞれわくわくする理由を聞いていきます。

A君は「作戦や戦略を立てるのがめっちゃ面白い」、B君は「チームで勝ったり、みんなで立てた目標を達成するのに自分が役立ったりすることがうれしくてしょうがない」、C君は「素振りや筋トレをして、自分が日々成長しているのを感じるのが楽しい」と言います。

表から見ているだけでは分からない、子どもの心の中や考えが彼ら自身の言葉として発せられると、「なるほど、そうだったのか!」という気持ちになります。

同じ野球でもわくわくする理由は違う

私たち大人が一人一人と向き合い、彼らが野球に打ち込んでいる理由や「わくわくエンジン」を理解する視点を持てたとき、子どもたちの成長をより良くサポートし、可能性を引き出すことができるのです。

例えば、担任教師に「今度の体育祭、騎馬戦で隣の組に勝ちたいね。どうやったら勝てるか作戦を立ててくれないか」と持ち掛けられたとしたら、A君は騎馬の組み合わせをどうしようか、大将を誰にしようかと、張り切って考えるでしょう。

もし、A君の作戦で見事勝つことができたら、彼は学級の中でヒーローになれます。たとえ負けたとしても、作戦を立てて頑張ったことを学級の中でたたえることができます。授業や行事、学級づくりなど、教師はどんな場面においても「作戦や戦略を立てるのが面白い」という子どもの活躍の場をつくることができるのです。

大人はとかく、走るのが速い/遅い、計算が速い/遅い、テストの点数がいい/悪いなど、「できる/できない」の軸でものを考えてしまいがちです。

ですが、そうした外からの評価の視点ではなく、一人一人の内面にある「わくわくエンジン」を理解できれば、子どもがわくわくしながら夢中になって取り組む成長の機会を提供できるようになるのです。これは、学級の一人一人を毎日見つめている教師だからこそできる特権なのです。

子どもの中にある大切な思いを引き出し、認め、日常生活の中で生かすことによって成長の機会を提供できる教師が増えれば、どんなに多くのすてきな学級や学校をつくることができるでしょう。