新たな時代のキャリア教育(4)なんで勉強するのか

認定NPO法人キーパーソン21代表理事 朝山 あつこ

子どもに「なんで勉強しなくてはいけないの」と問われたら、あなたはどう答えますか。「君のためだよ」「将来のために備えておくんだ」「人の役に立つ立派な人になるためだよ」――といったところでしょうか。

けれども、実感の伴わないことを言われても、子どもにはぴんとこない。それで「主体的に勉強しよう」とは思いません。何のために勉強をするのか、答えは一人一人の子どもの中にあるからです。

「れお君」は、自らその答えを見つけ、意欲を持って人生の進路を決めた子です。

彼は中学3年生のとき、私たちが運営する学習支援・居場所づくり事業の学習会にやってきました。当時は通知表が1と2ばかりで学習習慣もありません。学習会に来るのも終了時間の5分前という状態でした。

そんなれお君にも、わくわくエンジン発見の日がやってきました。私が「どうだった」と聞くと、こう話してくれました。

「めっちゃ自分に感動した。僕は幸せな家庭を築きたい。そのためにお金を稼がなくてはならないことは分かっている。でも、どうせ働くなら好きなことを仕事にしたい。僕は小さい頃からものをつくるのが好きだった。何かものをつくる仕事がしたい。建築に関する仕事がしたい。建築科のある学校に行って資格を取りたい、勉強したい」

そのとき、れお君には自分のエネルギーの元と、そのエネルギーの向かう先がはっきりと見えたのです。神奈川県内で建築科がある定時制高校を目指して勉強を始めると、成績はぐんぐん伸び、最終的に建築科がある全日制高校に見事合格しました。

彼はこれまでずっと「中間試験があるから勉強しなさい」「宿題出さないと内申点が下がるぞ」「このままだと高校行けないね」と不安をあおるような言葉で、勉強するよう促されてきました。しかし意欲は湧かず、自己肯定感も下がるばかりでした。

わくわくエンジン発見の際、れお君は初めて「勉強は、人から言われたり外からの圧力でするものではなく、自分の中から湧き出る、学びたい、こうありたいと思う気持ちからするものなんだ」と気付いたのです。感動のあまり彼は「そういうことか」とつぶやきました。

わくわくすると人は能動的になる。自分のわくわくエンジンに気付き、真の目標を見つけたときにこそ意欲が生まれることを、れお君が証明してくれました。

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