校則にしばられる生徒たち―浮かび上がる学校の歪み(5)尊厳を傷つける黒染め指導

ストップいじめ!ナビ副代表 須永 祐慈

理不尽な校則に関する問題提起以降、さまざまな動きが広がっている。

今年春、シャンプーなどを製造販売する企業が「#この髪どうしてだめですか」という学生の髪型校則をテーマにしたキャンペーンを展開し、「髪型校則へのホンネ調査」を実施した。中高生と卒業生計600人のうち、学校から生まれつきの茶色い地毛を黒く染めるよう促された経験がある、と答えた割合は7.3%だった。

私たちも調査の中で、そもそもどのくらいの割合が「茶髪・黒髪」「くせ毛・ストレート」なのかを調べた。

結果を見ると、髪色・髪質が「黒髪ストレート」の割合は約6割。生まれつきの髪色が「茶色」の割合は1割弱存在した。髪色が茶色の人に絞ると、中学時代に1割、高校時代に2割程度が「黒染め指導」を経験していた。

学校に通う生徒はみんな黒髪であるという認識が前提にあるのなら、それは間違いであり、偏見だということが結果から分かる。現在では、外国にルーツを持つ子供も増えている。髪色も髪質も多種多様な彼らに、黒髪やストレートを強制すれば、尊厳を傷つけかねない。

頭髪指導に関して、全日制の都立高校を調査した朝日新聞が、約6割で「地毛証明書」を提出させていると報じ、話題になった。幼少期の写真の提出を求め、元々黒髪ではないという「証拠」を示させた事例もある。

この問題に関しては、私たちの元にも悲痛な声が届いている。

「地毛証明書を提出しても黒染めを強制させられた」「一部分の髪の色が薄くなっただけで切らされた」など、枚挙にいとまがない。

中には「黒染めしないままだと教室に入れてもらえず、校門で返された」事例もあった。ここまでくると、学ぶ権利の侵害、人権問題と言われても仕方がない。

理容師からは「染毛剤の中にはアレルギー反応を発生させるリスクのある物質もある」との指摘もある。黒染め指導は健康被害の側面からも慎重になるべきだ。

一方、冒頭の調査では現役教師に聞いた興味深いデータもある。

「時代に合わせて、校則も変わっていくべきだと思いますか」の問いに「そう思う」と答える教師は9割を超える。「時代に合わせて、髪型に関する校則も変わっていくべきだと思いますか」でも、9割近くが「そう思う」と回答した。

多くの教師が校則は変わるべきだと考えているのなら、「どうやって変えるか」「変えられない理由は何か」の議論を加速させるべきだろう。