新たな時代のキャリア教育(5)教師のわくわくエンジンも発動

認定NPO法人キーパーソン21代表理事 朝山 あつこ

私たちはプログラムの打ち合わせや研修の場で、教師の「わくわくエンジン」を引き出す支援もします。以前、ある教師がワークシートの「わくわくすること」に、「ハーモニー」「合唱」「オーケストラ」の三つを挙げていました。

「音楽の先生ですか」と尋ねると、「いえ、数学です」との返答。その方は「オーケストラのように、みんなで音を合わせて一つになることにわくわくすると気付きました。僕はクラスみんなが一体になるような授業をしたかったんです。これまで、どんな授業がいい授業なのか、という自問自答に、明確な解を見いだせないままでいました」と打ち明けてくれました。

教師の気付きも引き出す

「新人のころ、研究授業に多くの先生方が見に来られる際、先輩教師に『良い授業とはどんな授業でしょうか』と質問したところ、『見に来た先生がいいと思う授業でしょ』と返されました。以来ずっと、授業の進め方や在り方に自分なりの解を持てずにきてしまいました」と振り返り、彼は「今日初めて、自分が授業で大切にしたいことが何であるかが明確になりました。すごく大切なことに気付かせてもらいました。明日からやってみます」と、わくわくした表情で語りました。

「なぜ教師という仕事をしているのか」「どんなところに自分のわくわくエンジンがあるのか」に気付いたとき、教師自ら考え、動くことで、子どもにとっても教師自身にとっても価値ある授業づくりが始まるのではないでしょうか。自分らしい、生き生きした授業づくりに取り組む教師が増えることが、「子どもが主体的に考え動くこと」につながっていくのだと考えます。

「こうあるべき」と言うだけでは、クリエーティブでポジティブなエネルギーは生まれません。過去の大量生産時代のやり方にいつまでもとらわれていては、これから日本をリードする子どもたちを育てる可能性を消してしまいかねない。そんな危うさをはらんでいると意識する必要があると思うのです。