『自律型学習者』を育てる学校改革(1) 「幸せ創造者」育成に向けて

新渡戸文化小中高校教諭 山本 崇雄

私は東京都の公立学校で英語の教員として25年間勤め、昨年度をもって退職しました。4月から、2校の私学と三つの企業と契約し、新しい働き方を始めました。理由は主に二つあります。

一つは、教員の働き方改革です。私は教員が複数の学校や企業とプロフェッショナル契約ができるようになるべきだと考えています。

教員の多忙の理由の一つは、全ての教員が一律に授業以外の仕事(担任、学年、分掌、部活動、行事、PTAなど)を得意不得意関係なく行うところにあります。スポーツの経験がない教員が運動部の顧問になり、苦労するケースなどを聞くたびに、さまざまな働き方があってもいいのではと考えます。

例えば、授業中心のプロフェッショナル契約をした場合、授業が午前中で終わり、午後は自由な時間になります。その分給料は減りますが、午後に他の学校や企業と契約し、兼業すればトータルで収入が確保できます。この働き方は公務員である公立学校では、どうしても実現させることはできませんでした。

非認知スキルを育てる学習に取り組む

もう一つは、学力試験偏重型の教育から、非認知スキル型の教育への学校改革です。多様化し、変化の激しい社会では、目標に向かって頑張る力、人とうまく関わる力、感情をコントロールする力といった非認知スキルが重要になります。学力テスト偏重型の教育ではなかなか育たなかった非認知スキルを育てることこそが、社会に子供たちを送る学校の使命だと考えています。

主に学校改革に携わっている新渡戸文化学園では、教育活動の最上位目標を「Happiness Creator(幸せ創造者)の育成」としました。Creatorとしたのは、自分だけでなく地球上の全ての人、生物の幸せを創り出す利他的な行動者を育てたいからです。

Happiness Creatorの下位目標として、「自律型学習者の育成」を全ての教育活動を通して目指していきます。「自律型学習者」とは、非認知スキルを身に付け、平和で持続可能な世界をつくっていくためにより良い選択ができる学習者を指します。

本連載では、新渡戸文化学園の学校改革を中心に、自律型学習者を育てる取り組みを紹介していきます。


【プロフィール】

やまもと・たかお 都立両国高校附属中、都立武蔵高校附属中で自律型学習者を育てる「教えない授業」を実践。新しい教育の在り方を提案する「未来教育デザインConfeito」の設立にも携わる。著書に『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP)など多数。