校則にしばられる生徒たち―浮かび上がる学校の歪み(9)「隠れ不登校」の存在

ストップいじめ!ナビ副代表 須永 祐慈

前回、校則を気にするあまり大きな緊張を強いられていた不登校経験者の事例を紹介した。中学2年でいじめに遭い不登校になったこの女性は、細かすぎる校則に押しつぶされそうな思いがあったという。

教師の指導は「落ち着きがない」「悪さをする」といった問題のある子供に注目し、多くのエネルギーを注ぎがちだ。そのため、時に教室全体に対して強い姿勢で指導するケースもあるだろう。

ただその中に、内心恐怖を感じていたり、強いストレスを抱えたりしている子供がいるかもしれないことに、十分な配慮が必要なのではないか。

最近、不登校に関する新しい調査データが公表された。学校には登校しているが、精神的には不登校に近い気持ちを持つ「隠れ不登校」「仮面登校」と呼ばれる子供のデータである。

年間30日以上の欠席という文科省の定義には当てはまらないものの、「年間30日未満の欠席者」「保健室や校長室などの『別室登校』」「基本的に教室で過ごすが授業に参加する時間が少ない」「基本的には教室で過ごすがみんなと違うことをしている」「心の中では学校に通いたくない、辛い、嫌だと感じている」――のが彼らだ。

こうした「隠れ不登校」の中学生は、日本財団が昨年実施した調査によると10.2%、今年NHKがSNSのLINEを通じて実施した調査では23.3%いるという結果が示された。全国規模で推計すると、前者は33万人、後者は74万人に上る。

ただ、この結果には留意すべき点がある。隠れ不登校は近年出現したわけではなく、今回の調査で顕在化したにすぎない。20年前、大学の授業で学生たちに聞いた際には、文系学部生の4割程度が似たような経験を持っていると答えた。こうした感覚はすでに30年以上前から不登校当事者の間で共有されていたものでもある。

最近知られるようになった「HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)」と呼ばれる子供たちもいる。「感受性が豊かで、他人の気持ちによく気が付く一方、周囲の刺激に敏感で傷つきやすい、人一倍敏感な子供」を指し、そもそも病気や障害ではなく、生まれ持った気質だという。米国の心理学者、エレイン・N・アーロン氏が提唱した概念だ。こうした子供への配慮も必要だと思う。

学校に通うことに辛い思いを抱えている子供がこれほど存在すると、ようやく明らかになってきた。隠れ不登校は、この連載で問い掛けてきた、理不尽な校則をはじめとする学校でのストレッサーと無関係ではない。どう向き合っていくかが問われている。