新たな時代のキャリア教育(8)PTA発―東京都江東区有明の事例

認定NPO法人キーパーソン21代表理事 朝山 あつこ

東京都江東区有明は、有明小学校と有明中学校、新設の有明西学園の3つの公立学校がある地域です。

東京臨海副都心の一部で、1980年代後半までは工業地帯でしたが、近年の高層マンション建築ラッシュによりファミリー層が流入。平均年齢40代前半、人口約9千人の新興住宅街に変化しているところです。住人同士のコミュニケーションは少なく、人のつながりは希薄でした。

その有明地域で3人の小学生を育てる直江麻衣子さんは、有明小学校のPTA事務局代表であり、キーパーソン21の「わくわくナビゲーター」でもあります。

直江さんは「もっと地域とつながりたい。父親も母親も仕事を持って働く家庭が多いこの地域は、PTAの在り方も変える必要がある。保護者が参加したくなるような、先生も地域も一緒に子どもの未来に関わる活動ができないだろうか」というモヤモヤした思いを持っていました。

そんな折、有明地域が2020年のオリンピック会場に選ばれました。この界隈も工事が進み、たくさんの大型工事車両が行き交うようになります。「いざというときに子どもたちを守るのは地域の人たちに違いない。オリンピックまでに人と人とのつながりを強めたい!」と考えた直江さんは、さっそく動き始めました。

江東区有明地域の協働モデル

学校と地域をつなぐものとして注目したのがキャリア教育でした。キーパーソン21がキャリア教育アワードの最優秀賞を受賞したのをきっかけに、校長に相談の上、「自分の子どもだけでなく、有明の子どもをみんなで育てる」ための、保護者や地域の人が関わるプログラムの構成を考えていきました。

こうして直江さんは、地域、PTA、教師とともに「有明わくわく発見プロジェクト」を開始しました。最大の特長は、保護者がわくわくエンジン発見のサポーターとして、子どもに直接関わる仕組みをつくった点です。

効果は抜群でした。保護者からは「とっても楽しかった。普段、大人自身も自分の好きなことややってみたいことを考える機会がほとんどないので、子どもはもちろん、私にもまだまだ可能性があるかも! と思えました」との声が届きました。

保護者サポーターという仲間を得て、直江さんの熱い思いは、有明の子どもと地域を支える揺るぎない地盤となりつつあります。プロジェクトは3年目となり、19年度は地元企業の協力も得られるようになりました。

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