新たな時代のキャリア教育(10)教員発―神奈川県高座郡の事例

認定NPO法人キーパーソン21代表理事 朝山 あつこ

地域のかっこいい大人と出会うことで、生徒が未来に希望を持つ――そんな授業を企画していた神奈川県寒川町立寒川中学校の内藤幸久元教頭は、キーパーソン21のプログラムを「生徒一人一人の自己肯定感が確実に上がり、自分が何者であるかが分かるようになる」と評価しました。

さらに「機会をつくらなければ、大人になるまでそうした経験が一度もできないかもしれない」と、プログラムの実現に向けた取り組みを進めていただきました。

寒川中学校の内藤幸久元教頭

内藤元教頭は、わくわくナビゲーターとして訪れる大人たちは子どもたちを「認めて」くれるのだと言います。プログラムは子どもたちにとって絶対に必要で、何度でも経験させてあげたいとすら思っていたものの、学校での実現は簡単ではありませんでした。

「教員は実際の現場を見ないと納得しませんし、外部の人を直接子どもに接触させることを警戒します。話を聞くだけなら、深く子どもたちに関わるわけではないので心配はしませんが、このプログラムは、子どもの内的動機付けの部分にかなり踏み込んでくるだけに、なかなか前向きに検討してくれませんでした」(内藤元教頭)

内藤元教頭は「とにかく話を聞いてください」と粘り強く教員たちを説得、徐々に「面白いのではないか」と賛同の声が上がるようになりました。そうしてやっと、実現にこぎ着けたのです。

「実際にやってみると、教員たちはクラスの光景に驚嘆していました。教員ではない第三の大人が関わる効果を強く感じたのでしょう。このプログラムを体験したクラスは、その後、活気があるのに落ち着いた雰囲気になりました。子どもが自分自身を、そして友達を信頼する意味に気付いた成果だと感じています。クラス全体が成長するんです」と話してくれました。

ちなみに、内藤元教頭のわくわくエンジンは「みんなが笑顔で自分らしく生きていくことができる環境をつくるために、みんながびっくりするような準備をすること」。そのわくわくエンジンをますます活発に動かし、地域でプログラムを発展的に展開していけるよう、地元企業、町議会議員、JC(青年会議所)や商工会、町役場などと協働するための対話を地道に続けています。

結果、今年3月15日には、40人を超える地域の方々が寒川中学校1年生2クラス72人の生徒の元に集まって、わくわくエンジン発見のプログラムを行うことになったのです。

(おわり)