SDGs4.7とこれからの学び~アジアの教育を見つめながら(3)グローバル・シチズンシップ教育

グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)・グローバル教育プロデューサー 木村 大輔

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」――これはユネスコ憲章前文にある有名な一節である。ユネスコが創設された1946年以来、教育、科学、文化を通して「平和と人類の共通の福祉」を一貫して推進している。

SDGs4.7も、74年にユネスコ総会で採択された「国際理解、国際協力および国際平和のための教育並びに人権および基本的自由についての教育に関する勧告」の流れをくむ「変容を促す教育=Transformative Education」となっている。

GiFTのグローバル・シチズンシッププロセス

このSDGs4.7の中にESDと共にあるのが、グローバル・シチズンシップ教育(GCED)である。GCEDは「どの年代の学習者も、より平和で、寛容で、包摂的で安全な社会を築くため、地域やグローバル規模において積極的な役割を担うようにする」ための教育(ユネスコ)と定められている。

私が働いているGiFTでは、GCEDを「より良い世界を創る志」として、生徒の変容、価値観、志の形成を後押しするプログラムや学習デザインを、若者世代を中心に国内外で実践している。いずれも、GCEDが目指す学習者が身に付けるべき特性―「情報に基づき批判的に読み解く力」「多様性への敬意と社会とのつながり」「倫理的責任感と積極的関与」―に関連している。

変容をもたらす上でわれわれが大切にしているのが▽深い自己理解▽他者理解▽共に創り上げる(Co-Creation)▽実社会に対する参画・貢献――といった、心、感情を中心に扱うことである。自分は何者か、何に喜び・不安を感じるのか、そして相手は何を大切に生き、何をしていきたいと思っているのかなど、世界とつながる前に自分や目の前の人を深く理解し、受容するプロセスを通して親近感や共感を育てることを大切にしている。

具体的には授業や課外学習、海外研修で一人一人が「体感する」ワークを行い、他者や世界のことについて「自分ごと=Ownership」と捉えるきっかけをつくる。そして、参加者が学習後に自ら進んで誰かのために、あるいは社会のために挑戦・行動する後押しをしている。

その際、男女、文化、宗教といった目に見える多様性だけではなく、個々の多様な価値観、経験や生い立ちなども扱うことによって、共に活動する際、関係性の質を深めた上で協働できるようになる。意見や価値観の衝突があったときの対応や成果の質も変わってくる。

世界が抱える課題は複雑で難しい。だが、個々の感情や声を聴く対話の場をつくることで、多くの学生が国境を超えて深い信頼や友情を築き、自信を付け、手を取り合っていく場面を私は見てきた。

こうして変容した学生たちが日常生活に戻ったとき、いかにモチベーションを維持し努力し続けていけるのか。そこをどう支えるかがこれからの挑戦である。