SDGs4.7とこれからの学び~アジアの教育を見つめながら(4)コンピテンシー・ベースの教育

グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)・グローバル教育プロデューサー 木村 大輔

ユネスコやOECD、米国とアジア諸国の協力を推進しているアジアソサエティなどが国家をまたいだ教育の在り方を検討し、これからの社会に必要な「資質・能力(コンピテンシー)」の枠組みを示している。教育はグローバルな施策として語られるようになった。

いま語られている教育の前提にコンピテンシーがある。これは能力的なものだけでなく、学業や仕事に向けた姿勢(態度)、意欲といった行動特性を表している。

今後の学校経営には、この「コンピテンシー・ベース」の教育課程が必要ではないかと議論がなされてきた。日本では国立教育政策研究所が「生きる力」の実現に向けて必要なコンピテンシーを「21世紀型能力」としてまとめ、学習指導要領改訂に向けた議論の中でも提示されてきた。

育むべきコンピテンシー

具体的には「基礎力」「思考力」「実践力」を中心に、「緊張・ジレンマを調整する」「多様性の尊重」「持続可能な未来への責任」「新たな価値の創造」「共創」「GRIT(やり抜く力)」なども含まれる。その全ては相互に関連しており、各科目においても共通してこれらコンピテンシーを育成する必要性を示している。

アジアソサエティの「東アジアにおける21世紀型コンピテンシー」研究プロジェクトに参画した際、日本の教育の潜在的な力を感じた。「コンピテンシー」というと、米国の非営利団体P21などが提唱している「21世紀型スキル」をはじめ、欧米の教育が礼賛される傾向がある。

だが、改めて足元の教育をみると、知・徳・体を育む日本の「生きる力」の枠組み、中国の五常(仁義礼智信)などの徳目など、教育現場においてはアジア諸国の方がコンピテンシーの理念を先取りしていると言えるだろう。

昨今は「STEM/STEAM」「プログラミング」「アクティブ・ラーニング」「カリキュラムマネジメント」といった言葉が多く聞かれるようになった。日々多忙な教員は氾濫する言葉に戸惑い、情報をキャッチアップしなければならないプレッシャーを感じているのではないだろうか。これらは「教育を通じてどのような人材・世界を創りたいか」という理念の下にあり、その実現のために必要な資質・能力がコンピテンシーである。

コンピテンシーを育成する上で、STEM/STEAM教育やプログラミング、教科教育があると考えると、断片的な情報が整理されていく。新しく聞く言葉のようでも、既に実践しているものだったというケースも少なくないだろう。