『自律型学習者』を育てる学校改革(9)試行錯誤しながらより良い方向を決める

新渡戸文化小中高校教諭 山本 崇雄

パブリック・リレーションズの3つのキーワード「倫理観」「双方向コミュニケーション」「自己修正」のうち、今回は「自己修正」について詳しくお話しします。

互いを知り、双方にとってよい関係を構築する、対称性の双方向コミュニケーションを進めるのに大切な要素が「自己修正」という概念です。米国のパブリック・リレーションズの専門家は双方向コミュニケーションを通したフィードバックの結果、必要と思われるときには多くの場合「変化(Change)」させたり「調整(Adjust)」したりする、としていますが、ここでいう「自己修正」は表面的に相手に合わせる変更ではなく、より深いところで自らを変えていくことを意味しています。

3つのキーワードの関係図

パブリック・リレーションズに求められている自己修正は、倫理観に支えられていなければなりません。例えばある組織体が、法律に触れないからといって市場や社会環境をいたずらに混乱させるような手法をとったとします。仮にそれで目的が達成できたとしても、企業の社会的責任や持続的な繁栄を考えれば、決してよい結果はもたらしません。パブリック・リレーションズの第一人者、井之上喬氏はこの倫理観に基づく自己修正ができない組織や個人が多いと言います。

学校現場でも、子供たちが自己修正の重要性を理解することは、子供たちの未来の働き方につながります。学校では「自己修正」を「試行錯誤しながらより良い方向を決めること」という言葉に置き換えました。

具体例を挙げましょう。文化祭の出し物を話し合う場面で、最上位目標を「来たお客さん全員を楽しませること」としました。クラスの大多数は「縁日をやりたい」という意見でしたが、少数ながら「ミュージカルをやりたい」という意見もありました。多数決だと縁日になりますが、そこにミュージカルの要素を取り入れた方が最上位の目標を達成できると考え、縁日の合間にフラッシュモブというミュージカル的なパフォーマンスを入れることにしたのです。

これは僕が担任をしたクラスでの実際のエピソードです。みんながハッピーになるよう、対等に対話を重ねながら計画を修正したのです。