学校の当たり前を見直す 教育活動のエビデンス(2)「エビデンス」って何だ?

岐阜県養老町立養北小学校教諭 森 俊郎

前回、学校でエビデンスが求められている背景を述べた。今回は、そもそもエビデンスとは何かということを考えてみたい。

端的に言えば科学的根拠であり、客観性、妥当性、再現性がある、質の高い知見を指す。同じような意味で用いられる言葉に「データ」「研究」「評価」などがあるが、エビデンスはそれらよりも質が高く、ふるいにかけた純度の高いもの(純金や結晶)だと考えてもらえばよい。

言葉の質という点での違いを、少し詳しく見てみよう。

  • 個人の意見……インターネット上のブログや書籍などでみられる意見は、エビデンスとは言えない。注意しなければいけないのは、専門家の意見もあくまで個人の見解であって、エビデンスではないという点だ。
  • データ……数字を指す。全国学力・学習状況調査などの学力データは、単に結果としての数字にすぎない。
  • 研究……一定の仮説の下で実験を試み、結果に考察を加えたもの。質はデータよりも高いと言えるが、中には不十分な方法により行き過ぎた結論を導いているものもある。

そしてエビデンスとは、大規模な取り組みと優れた実験デザインでまとめた知見を指す。何千、何万というサンプルを対象に調査し、そこから得られた知見のうち100~1000個をまとめたものをいう。

エビデンスとは何かを理解する上で、まず、こうした類似の言葉との質の差を捉えなければならない。「○○大学の△△教授によれば~」「最新の□□研究によると~」といった前置きがあれば、いかにも正しい情報のように受け取ってしまうが、個人的な意見や一定の政治的な意向に沿ったデータ、十分でない研究方法で取り組んだ結果が含まれていることもある。誤った情報をうのみにして教育活動を展開してしまうようなことがあれば、児童生徒はおろか、職員や学校のためにもならない。

実際、かつて多くの学校で支持されていた体罰にまつわる教育的効果論や、「スポーツ活動中に水を飲ませない」という指導方法は、エビデンスに基づいたものとは言えず、これまでに多くのデメリットを生んできた。

学校がエビデンスを参考にしながら指導方法や学校方針を見直していけば、授業づくりや業務、校内研究をより効果のあるものに変えていくことができる。次回以降、エビデンスを使って学校のさまざまな取り組みを見直す方法について、事例を交えながら紹介していきたい。