SDGs4.7とこれからの学び~アジアの教育を見つめながら(9)教員に求められる資質・能力

グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)・グローバル教育プロデューサー 木村 大輔

子供の未来に関わる教員に求められるコンピテンシーは何だろうか。東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)は、コアコンピテンシーとして①教えることへの知識理解(教育施策、トレンドやカリキュラムの理解、地域・国家・地球規模の発展に合わせて自身を常にアップデートすること)②生徒の学びの支援(最も効果的な教授法や学習方策の活用、学習方法についての評価やフィードバック)③コミュニティーとのつながり(学習支援のための地域の巻き込み、尊敬と多様性の促進)④日々より良い先生となること(自己や他者に対する理解、人生における善行の実践、自己の超越)――を挙げている。

教員に求められるコンピテンシー(出典:ユネスコアジア太平洋地域教育局)

世界の公益のための教育を目指す流れの中で、社会貢献意欲や異文化理解、世界への関心を高める意識付けは必須だ。さらに、社会を創る担い手として行動できる人材を育成するにはコンピテンシーが重要だ。

ユネスコは教育の質を高める「横断的コンピテンシー」として①批判的・創造的思考②メディア・情報リテラシー③対人スキル④個人の内的スキル⑤グローバル・シチズンシップ⑥その他――と6つの領域を挙げている。これらは児童生徒だけでなく、教員自身も身に付ける必要がある。

ところで、文科省の「新時代の教育のための国際協働プログラム」でグローバルコンピテンシー/グローバルシチズンシップについての比較研究と教員海外研修を実施した際、興味深い変化を見た。

渡航前は知識重視の傾向があった教員が、帰国後には「GRIT(困難を乗り越える力)」「自律・内省」「対話と協働」の重要性を知り、さらには「起業家精神」「グロースマインドセット(自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できるという考え方)」がいかに大切であるかを語っていたのだ。

教員のコンピテンシーを高める上で、多忙感の他に障壁となるものは何だろう。気になるキーワードは「指導」や「失敗の許容」だ。

答えのない問いの中で生きているわれわれが指導できることは限られているし、常に失敗もつきまとう。失敗できない、指導しなければいけない、答えられなければいけないという呪縛が教員にはあるように見える。

そこで「指導」を「学習」という言葉に置き換えてみる。一方的に「指導」するのではなく、教員も学習者となり、共に学ぶ姿勢を示すことで、児童生徒との関係も変わるように思う。

「私も分からない、だから教えてほしい」と言える環境、一緒に意思決定し、失敗しながら実践する環境が教員のコンピテンシーを高めていくのではないだろうか。