学校の当たり前を見直す 教育活動のエビデンス(4)エビデンスで「授業」を見直す

岐阜県養老町立養北小学校教諭 森 俊郎

小学校低学年を担当するA教諭は、校内の公開授業を翌月に控えていた。A教諭の小学校では、校内研究の一環として児童自身による学びの振り返り活動に取り組んでおり、A教諭もこれまで終末時に、4段階の数字から自分の理解度に相当するものを児童自身に挙手させる振り返り活動を行ってきた。しかし、長年続けてきたこの活動に、A教諭は「本当に意味があるのだろうか、形だけの指導になってしまっていないか」と考えるようになった――。

このように、これまでの自分の授業実践に疑問を持ったとき、エビデンスが役に立つ。

ここで、学びの振り返りに関するエビデンスを検索してみる。すると、前回紹介した英国のエビデンス仲介機関「Education Endowment Foundation(EEF)」のサイトから、学びの振り返りにつながる「メタ認知」に関する情報を手に入れることができた※。そこには、「メタ認知の育成は主体的な学びを促すために重要」であり、「学習の計画を立てたり、学習態度を振り返らせたりすることを通して、自分の学習に責任を持たせることができる」と記述されていた。また、「メタ認知は小学3年生ごろから特に伸長する」とあった。

A教諭はこの情報を基に、公開授業が担任する学級の児童たちにとって主体的な学びとなっているか、その児童たちは自分の学習計画をどの程度立てることができるかという視点で振り返ってみた。そして現時点では十分な学びの振り返りができていないと考え、授業の終末に、1~3段階の選択肢からなる複数の振り返りの視点を提示することにした。

また、授業の導入時に「自分はどのように学習を進めようと考えているのか」といった学習の見通しや計画を児童に持たせるようにした。結果、A教諭の公開授業は、全校職員にメタ認知の育成を促す創造的な実践提案となった。

エビデンスを知ることにより、これまでの授業を新しい視点で振り返ることができる。目的意識を持って教師がエビデンスを活用すれば、授業改善に結び付く。エビデンスは、授業づくりの調味料なのだ。

※執筆に当たり、EEF「Metacognition and self-regulation」を参照した。