校長発のPTA改革(2)保護者はなぜPTAを嫌うのか?

神戸市立桃山台中学校校長 福本 靖

最近、マスコミがPTA問題を大きく取り上げる際、その深刻さや矛盾を強調するために、必ず法律的根拠や人権意識を絡め、厳しく激しい指摘がなされています。保護者との対立構造は本来学校現場にそぐわぬものですが、それだけ問題が深刻で、事態が行き詰まっているということでしょう。

学校側も、しっかり準備して対応する学校が増えてはいるものの、一方で「一部の保護者はいろいろと主張するけれど、多くは特に何も言ってこないのになあ」と、のんびり構えている学校も少なくありません。この感覚こそまさしく、PTA問題の根源だと思います。

保護者がPTA活動を嫌う理由は明白です。加入に法律的な根拠を持ち出すのは、時間や環境に制約があって役員を引き受けられないのに強制されるからであり、話が人権問題にまで発展するのは、断る理由を求められ、家庭の内情まであらわにしなければならない状況があるからです。役員の強制などがなければ、おそらくこのような事態にはならなかったでしょう。

会費の問題にしても、手続きや使い道が細かく指摘されていますが、最大の目的はそれらの是正ではなく、組織の脆弱(ぜいじゃく)性を明らかにし、これまでのような組織運営ができないようにすることです。

さらに、活動に価値を見いだせないことも、保護者がPTAを嫌う大きな理由のひとつです。子供や学校教育とは明らかに関係のない役割を与えられ、自分の仕事や都合をなんとか整理して参加しても、虚無感しか残らない。こうしたことからも、受け入れられなくなっています。

PTAは上位団体がとても大きく、また地域活動が衰退する中にあって、確実に割り当てが期待できる組織でもあります。そのような性質からこの数十年間、あれもこれもと抱え込んできたのは事実です。とりあえず協力しておけば丸く収まるだろうという安易な判断のもと続けてきた活動の中には、たとえ善意から派生していたとしても、取捨選択すべきだったものが少なくありません。

「強制」と「やりがいのなさ」、この2点を改善しない限り、これからのPTA活動は成り立たないと考えます。そして、改善のキーワードとなるのは「子供のために」という発想です。PTAを巡る議論には「嫌われているからなくしてしまう方がいいのではないか」という意見もありますが、学校教育の究極的目標でもある「子供のために」、教員と保護者が協力できる組織はやはりPTAなのです。

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