【教育活動のエビデンス】「校内研究」を見直す

岐阜県養老町立養北小学校教諭 森 俊郎

4月、B中学校の職員室は重たい空気に包まれていた。年3回の公開授業を誰が担当するのか話し合いが持たれたものの、なかなか決まらないのである。B中学校では例年、学期ごとに1回授業公開することが校内研究で決まっており、公開授業までに単元指導計画や板書計画など、A4用紙8枚程度の指導案を作成するのが慣例となっていた。従来は若い教員の研修の場として位置付けられていたが、今年度は適任者がおらず、会議は行き詰まっていた。研究主任となったばかりのA教諭は困り果ててしまった。

公開授業による校内研究は、日本の教員研修の素晴らしい文化と言える一方、公開授業を拒絶したり、進んで校内研究に取り組もうとしなかったりする学校もあると耳にする。また、何枚にも及ぶ指導案や研究紀要作りに追われ、教員の多忙化に拍車をかけてしまうこともあるようだ。

このように、校内研究に重たい空気の漂う学校にこそ、エビデンスが効果を発揮する。

指導案に関するエビデンスを検索してみると、日本の公立小学校705校、公立中学校665校、公立高校254校、私立高校77校を対象にした教師の力量形成に関する調査があった※。それによると、指導案そのものよりも、授業づくりをする教員同士のまとまりの方が、授業の改善に与える影響が大きいと分かった。ここでいう「教員同士のまとまり」とは、教員同士が子供や授業について話をしたり、互いに協力して授業づくりを進めたりすることを指す。

そこでA教諭は、思い切って指導案の分量をA4用紙1枚に簡素化した。また、日頃の授業を参観し、同僚教員の素晴らしい指導について「研究だより」を作成することにした。さらに、授業を撮影し、その教員の授業のポイントをドキュメンタリー風の動画にまとめ、全校に発信した。A教諭は、これまでの校内研究の在り方を大きく見直したのだ。その結果、指導案の作成にかかる時間を少なくし、他の教員から「こんなに楽しい校内研究は初めて」と声が上がるまでになった。公開授業をやりたいと希望する教員も増えた。

エビデンスは、停滞した校内研究を変えることができる。何に時間を費やし、何を少なくするのかを見直すことで、働き方改革の一助にもなる。

※執筆に当たり千々布敏弥『プロフェッショナル・ラーニング・コミュニティによる学校再生』(教育出版、2014)などを参考にした。