【教育活動のエビデンス】エビデンスリテラシーを育てる

岐阜県養老町立養北小学校教諭 森 俊郎

ここまで、エビデンスの必要性やその具体的な活用方法について、事例を交えながら解説してきた。こうした、エビデンスを用いて組織のさまざまな課題を見直す力を「エビデンスリテラシー」と呼ぶ。まさに、今の教育界で必須の力である。

今回は、このエビデンスリテラシーを取り上げる。

実は、すでに政府の統計改革推進会議(「EBPMの推進」内閣官房行政改革推進本部提出資料)や文科省の「第3期教育振興基本計画」において、これらの能力を備えた人材を育成するための方針が掲げられている。

エビデンスリテラシーは①実態把握、問題への仮説づくり、指導計画を立案する力②実践力③対人関係能力④継続的に自己を振り返る力⑤エビデンスを適切に吟味する力⑥個人的、文化的な差を理解する力⑦必要に応じて活用可能な情報を求める能力⑧説得力のある論拠を準備する力――の8つの力に分類される。

このように挙げると、どれも小難しい力であるように感じるかもしれないが、本連載において、さまざまな問題に出合ってはその解決に向けて取り組んだA教諭の実践は、まさにこれらの力を発揮した結果である。

全ての力を一人の教員が備える必要はない。例えば、校内研究のリーダーである研究主任が校内アンケートなどを実施し、自校の分析を行い、校内研究を立案した場合は①を発揮したと言えるし、優れた実践を示せる教員が②の力を発揮してもよい。

教員だけでなく、図書館司書が⑦の役割として、教員に必要な情報を提供することもできるし、校外の指導主事が⑧を活用して、公開授業の価値付けもできる。組織としてエビデンスリテラシーを育み、発揮することができるのだ。

とりわけ強調したいのは、特定の教育方法を強いるのではなく、学校のエビデンスリテラシーを育成するという点である。これは、文科省の「学び続ける教師」の育成にもつながる考え方である。

エビデンスというと、特定の指導方法を強制されると勘違いするケースがままあるが、全くの逆である。エビデンスに基づけば基づくほど、目の前の児童生徒や学校の実態をよく見ようとし、さまざまな情報を得て、よく学ぼうとする教員が育つ。

学校の個々の問題をエビデンスで見直すとともに、この「エビデンスリテラシーを育てる」視点を学校や各教育委員会の教員研修、大学の教員養成コースなどに取り入れてみてはどうだろうか。