【新たな英語学習のアプローチ(3)】4つの枠組み、思考力に焦点を当てて

上智大学言語教育研究センター非常勤講師 山ノ内 麻美

CLILの核となる枠組みは、▽Content(内容)▽Communication(言語)▽Cognition(思考)▽Community / Culture(協学)――で、「4つのC」と呼ばれている。

Contentは「教科や社会的テーマ」、Communicationは「内容を理解するために必要な言語の知識、読む・聞く・話す・書く技能」、Cognitionは「思考力」、Community / Cultureは「多文化理解や共同学習」を指す。この4つを有機的に統合するところにCLILの醍醐味(だいごみ)がある。

4つのCのうち、従来の英語教育の視点と大きく異なるのはCognition(思考)だ。ベンジャミン・S・ブルームが考案し、2001年に改訂された「教育目標分類(タキソノミー)」(図)を見てほしい。

ブルームの教育目標の分類(改訂版)

原則、三角形の頂点に向かうほど、複雑で高度な思考力を必要とする。従来の日本の英語教育で重視されてきた語彙(ごい)や文法の理解、暗記は、ここでは「低次思考力」に分類される。

もちろんこれらも必要ではあるが、そこにとどまっていては高度な思考力は身に付かない。指導案やテストを作成する際には、発問やタスクに「分析」「評価」「創造」の要素も計画的に取り入れ、段階的に思考力を伸ばしていく必要があるだろう。

またCLILを授業に取り入れる場合、児童生徒にいかに正解のない問いに取り組ませるかが重要である。私が以前見学した授業をひとつ紹介したい。

英語を用いた小学2年生の算数の授業で、学習内容は足し算だった。目的地に向かうのに、距離は長いが安全な道と、短いが怪物が住んでいて危険な道のどちらを選ぶかという問いに児童は取り組んでいた。それぞれの距離を計算した後、なぜその道を選んだのか理由を発表する。「私たちは小さくて怪物に気付かれないから近道を選ぶ」などと、それぞれの考えを伝えようと一生懸命に、前のめりに取り組んでいた児童らの姿が印象的だった。

CLILのCognitionが、学習者の主体的で能動的な学びにつながると感じた瞬間だった。

参考文献:『CLIL内容言語統合型学習 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第3巻 授業と教材』(池田真、渡部良典、和泉伸一共編、SUP上智大学出版)

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