【教育活動のエビデンス】 エビデンスに基づく学校改善サイクル

岐阜県養老町立養北小学校教諭 森 俊郎

教務主任となったA教諭は悩んでいた。学校全体を動かす立場となり、子供や教員のため、学校全体のため、常に教育課程などを見直していきたいと考えていたが、何しろやらなければならないことが多すぎて、どこから手を付けていいのか分からない。

このような「カオス」状況にあるとき、エビデンスが道しるべとなるだろう。

さまざまな問題の解決の一助となるのが「学校改善サイクル」だ。これは学校全体でエビデンスに基づいて改善に取り組んでいくための手順である。今回は①アウトカムの設定②エビデンスの検索③良い実践の共有④効果検証⑤達成と拡大――の5つの手順を説明する。

まず①アウトカムの設定とは、「何のためにそれをするのか」など、教育活動の狙いを明確にすることを指す。学校全体に関わる教育活動は多くの関係者がいるため、何のためにどの程度するのかを話し合い、合意形成を図る。公立学校であれば当然、教育委員会の方針を踏まえる必要がある。具体的な児童生徒の姿を示し共通理解を図ることで、自校の目標を明らかにする。これに学力調査をはじめとする各種データが活用できる。

次に②エビデンスの検索。①で定めた活動に関するさまざまなエビデンスを探す。その際、取り組みにかかる時間や予算などのコストも併せて検討するとよい。

そして③良い実践の共有。目指したアウトカムに対して優れた実践が生まれたとき、具体的な児童生徒の姿として全教員が共通理解できるようにしたい。その際、結果だけに注目せず、どのようなプロセスでその結果に至ったのかまで理解できると、他の事例に広がりやすい。

最後に④効果検証と⑤達成と拡大。取り組みの効果を科学的に検証し、次年度の計画を立案する。さまざまな活動と比較した上で、全体のバランスも踏まえて行いたい。延々と続く言い過ぎた・言わな過ぎたの効果検証や、効果検証のない取り組みの継続・拡大は、教員や児童生徒の負担になる。学校評価アンケートを生かし、統計的な有意差やエフェクトサイズまで出せると、より客観的に検証できる。そして、多くの取り組みがある中で、次年度はどのように改善し継続するのか、学校の実態に応じて適切なバランスを考える。

A教諭はこのサイクルを念頭に置いて見直しを図り、学力向上や教員の長時間労働の改善を実現した。エビデンスは個人の教育実践だけでなく、学校全体の教育活動を見直すときにこそ、その力を発揮する。