【新たな英語学習のアプローチ(4)】CLILの言語指導―インプット

上智大学言語教育研究センター非常勤講師 山ノ内 麻美

CLILの言語指導は、大きく分けて3種類存在する。①学習内容に関する必須語彙(ごい)や表現を指す【内容学習言語】②ディスカッションをする際に必要な表現である【学習スキル言語】③分からないことを質問するとき、もう一度説明してほしいときなどに発する日常的な言語【日常言語】――だ。この3つの側面を意識して指導案や教材に計画的に組み込み、学習を進めるといいだろう。

言うまでもなく、英語の習得には量的・質的なインプットが大切であり、CLILも例外ではない。ここでは「音声インプット」と「文章インプット」についてそれぞれ見ていこう。

音声インプットは、授業中の教師の発話(Teacher Talk)、または動画など視聴覚教材を活用する。教師が口頭で示すTeacher Talkの場合、指導したい文法や語彙を「ゆっくり話す」「繰り返す」「言い換える」「強調する」手段を用いるとよい。

文章インプットは、学習内容について英文で書かれたものなどを活用して進める。指導のポイントとなる箇所を太字や下線、斜体字や色付けで工夫して、児童生徒に分かりやすく示すと効果的だ。

しかし学習内容に集中していると、こうした配慮をしても気付かないこともある。その場合はいったん内容指導を止めて、言語形式に意識を向けさせるといい。言語の規則性を発見させる、特定の言語形式を使う課題を出す、別の言語形式と比較させる――などの働き掛けで、言語そのものの理解を後押しすることも時には必要だ。

これらの技法は「足場掛け(Scaffolding)」と呼ばれ、学習者が学習内容と言語の両方を理解するための重要な手助けとなる。子供が自転車に乗る練習をイメージすると分かりやすいだろう。

補助輪付きから始め、慣れてきたらそれを外して、大人が後ろから支えてあげながら少しずつ手を放していく――。指導者のサポートの下、段階を踏んで自立を目指す技法である。

CLILではこのように学習者の反応に注意を払いながら、内容指導と言語指導を行き来しつつ、その都度必要な指導を見極めていく。

参考文献:『CLIL(内容言語統合型学習)上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第3巻:授業と教材』(池田真、渡部良典、和泉伸一著、上智大学出版)

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