【教育活動のエビデンス】エビデンスに基づく教育を

岐阜県養老町立養北小学校教諭 森 俊郎

ここまで、エビデンスという小難しい言葉を使った連載にお付き合いいただいた読者に感謝したい。連載の最後に、エビデンスに基づく教育を発展させる3つのポイントを述べる。そのポイントとは、①つくる②伝える③つかう――である。

まず、エビデンスを①つくることが必要である。専門的な言い方をすると、研究者が中心となって、無作為化対照試験(Randomized Control Trials)やシステマチックレビュー(Systematic Reviews)など、科学性の高いエビデンスをつくることである。

日本の教育分野は、エビデンスそのものが足りていない。もちろん、科学性の高いエビデンスをつくるには膨大な時間と労力を必要とするが、基本的なデータの公開や活用といった制度設定や法整備から、医療や諸外国のエビデンスをつくり出す仕組みに倣ったエビデンスの産出までを、しかるべき立場の組織が取り組む必要がある。

次に、エビデンスを②伝えることである。行政官や教員向けに分かりやすく伝える工夫をすることである。第3回で解説したように、英国や米国では、エビデンスを分かりやすく伝えようとしている。

例えば、エビデンスを数分間のVTRにまとめ、ウェブサイト上で紹介したり、要旨を抜き出し1枚程度の簡単なレポートにしたりしている。そういったエビデンスを入手できる環境を整えていくべきである。国立教育政策研究所をはじめ、各地の公的な教育研究機関がこういった役割を担うとよいのではないか。

最後に、エビデンスを③つかうことである。これまでの事例で示してきたように、さまざまな問題に関するエビデンスを探し、さらに良い実践方法はないかと常に見直すことである。

特に「ねらい」「実態」「エビデンス」の3つを意識し、改善を繰り返すことが重要だ。併せて、エビデンスに基づく教育に取り組んでいる教員や学校にさまざまなインセンティブを設けるなど、エビデンスの活用を促進する仕組みも必要だろう。

私がエビデンスに興味を持って10年以上になる。近年は、EBPM(Evidence basedpolicy making)の推進など、行政の視点としてのエビデンスに注目が集まるようになった。また、「情報過多」「多忙化」「価値観の多様化」により、学校現場でもエビデンスが求められるようになってきた。

しかし、日本のエビデンスに基づく教育はまだまだ発展途上である。それぞれの立場でできること、まだまだやらなければいけないことがたくさんある。

(おわり)