【探究的な問題解決能力】なぜ今統計教育か

国立教育政策研究所統括研究官 坂谷内 勝

「進化するデジタル経済とその先にあるSociety5.0」(総務省・令和元年版情報通信白書)では、ビッグデータとAI(人工知能)を基盤にして、経済のみならず、社会・文化・働き方、さらには生き方も変化すると言われています。

ビッグデータとは、多種多様でかつ巨大なデータの集まりを意味します。そして、Society5.0とは、内閣府の「第5期科学技術基本計画」の中で、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱されているキーワードで、「超スマート社会」(最新テクノロジーを活用した便利な社会)の呼称です。ちなみに、5.0とは5番目の社会という意味で、1番目から4番目までは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会です(図)。

出典:内閣府、Society5.0

Society5.0では、個人や社会が抱える問題の解決にはビッグデータとAIの利活用が必須で、大量のデータの収集・分析・活用を行わなければなりません。このとき活躍するのが「統計」であり、統計的な見方・考え方を学習者に教える教育が「統計教育」です。

統計の大切さ、統計教育の必要性は、誰もが分かっていることです。主観や直感で物事の状況を把握したり、意思決定や判断をしたりすることは、一般的に信頼できません。

統計に基づいたデータの収集・分析を通じて、さまざまな現象を把握し、良好な場合はさらなる施策を講じ、好ましくないときは改善策を考案する必要があります。

今、世の中でデータが重要視され、データを活用した問題解決の方法、すなわち「統計教育で身につける探究的な問題解決能力」が注目されていることは間違いない事実です。

新学習指導要領では「探究的問題解決」に力を入れて取り組み、思考力・判断力・表現力などの育成を図っていくことを打ち出しています。統計教育では、小・中・高校教育を通じて統計的な内容の改善がなされ、主体的・対話的で深い学び、探究的な問題解決能力や批判的思考力の育成などが盛り込まれています。

今回の連載では、教員をはじめ教育関係者に知っていただきたい「統計教育」に関連する話題を分かりやすく紹介します。


【プロフィール】

さかやうち・まさる 1959年北海道生まれ。筑波大学第三学群情報学類卒業後、同大大学院修士課程教育研究科修了。現在、国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官。2008年より全国統計教育研究協議会副会長を務める。著書に『わかる!?小学校の先生のための統計教育入門』(ミネルヴァ書房)。

この連載の一覧