【探究的な問題解決能力(2)】次期学習指導要領と統計教育

国立教育政策研究所統括研究官 坂谷内 勝

今回の学習指導要領の改訂で、マスコミが大きく報道しているのは「小学校高学年に外国語科を新設」「小学校からプログラミング教育を実施」などですが、「統計教育の充実」も提唱しています。

具体的には、小学校から高校までの全ての学年で、統計教育に関する指導内容の充実を図っています。

小学校算数では「データの活用」領域が第1学年から第6学年まで新設され、統計教育の内容が一つの領域にまとめられたのが特徴的です。中学校数学では、これまで高校で扱っていた四分位数・箱ひげ図が第2学年に移行されました。そして、高校では「理数探究」という科目が新設され、観察や実験、調査などに科学的・数学的手法を用い、探究する際に統計を積極的に活用することが盛り込まれています。

統計的な探究プロセス。出典:『わかる! 小学校の先生のための統計教育入門』(坂谷内勝、ミネルヴァ書房)

統計教育という言葉から、算数・数学科で取り扱う「統計の教育」と思われがちですが、重視すべきは「統計的な探究プロセスを取り入れた教育」です。これは全ての教科の授業で実践できます。

統計的な探究プロセスとは、次のような一連の流れをいいます。まず、素朴な疑問や身の回りで起きていることを明らかにするために何が問題なのかを捉え、次に、観察や調査を通してデータを集め、表やグラフにまとめて変化や特徴を読み取り、当初の問題を解決する。その後、新たに生じた疑問に向かって探究を深めていくことも大切ですし、もし、当初の問題が解決しなかった場合、観察や調査をやり直したりする必要もあります。

統計的な問題解決の探究プロセスを簡単な言葉で表現すると、「とらえる―あつめる―まとめる―よみとる―いかす」(図)です。統計的な問題解決活動を、海外で普及しているPPDACサイクルに合わせて「問題―計画―データ―分析―結論」と表現することもあります。

統計教育で表やグラフの作成、読み取りを学ぶのは基本中の基本ですが、本当に学ぶべきは、統計的な探究プロセスです。

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