【探究的な問題解決能力(3)】平均とは

国立教育政策研究所統括研究官 坂谷内 勝

「平均」は統計用語の中で一番多く使われていると思われる言葉ですが、2つの考え方があります。

さいころを振って何の目が出たのかを1から6までの数字で記録すれば、平均を求めることができます。理論的に計算すると、さいころの場合、どの目も同じくらいの確率で出る(同様に確からしい)ので、平均は(1+2+3+4+5+6)÷6=3.5となります。この3.5という数字は、全体を「ならす」という考え方で求めた平均です。

しかし、統計教育で狙っている平均の指導は、このような全体をならす考え方ではなく、全体の「代表」という考え方です。

全体の代表という考え方は、平均を集団の代表とみなし、他のデータは平均の近くにいっぱい散らばっている(分布している)ことを意識しなければなりません。

もし、この考え方で「さいころの目の平均が3.5」を解釈すると、さいころをたくさん振ったとき、3.5に近い数字の3または4がたくさん出ることになります。これは明らかに間違いです。もしそのようなことが実際に起きるのであれば、そのさいころはいかさまです。

日本人60人の平均顔(左)と顔の特徴点(右)

平均を応用した技術として、コンピューターの画像処理の一つに「顔画像の合成」があります。写真の男性と女性は、日本人の男女それぞれ60人から求めた平均顔の画像です。日本人の顔の代表に見えますか?

最近の携帯アプリやウェブサイトでは、デジタル写真があれば誰でも簡単に合成写真を作成できます。平均顔とは、顔の画像から特徴点(右図)を抽出して数値化し、各部位の数値の平均を求め、その値で合成した顔を指します。

ある部位(例えば目)が大きい人と小さい人の2つの画像を使って平均すると、中ぐらいの部位を持つ画像になります。つまり、顔の部位の特徴を全てなくすと平均顔になるので、「あなたの顔は平均的な顔ですね」と言われたら、「あなたの顔は特徴がない顔ですね」と言われたのと同じです。

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