【校長発のPTA改革】多忙化とPTA改革

神戸市立桃山台中学校校長 福本 靖

近年、教員の労働実態について、マスコミなどで盛んにその悲惨な現状が紹介されるようになりました。働き方改革が求められる社会にあって、もはや学校の過酷さはブラック企業並み、もしくはそれ以上と位置付けられています。学生にとって空前の売り手市場が続く中、教員を志望する学生も減少し、将来の学校教育がどうなるのか、大変危惧されるところです。

2019年1月、中教審が「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」と題した答申をまとめました。本来であれば家庭や地域でなすべきことが学校に委ねられ、学校および教師が担うべき業務の範囲が拡大されてきたと、ずばり指摘しています。

答申の表題を裏返すと、このままでは、学校は正常に運営できなくなるという危機感が読み取れます。当然、国としても対策を急ぐのですが、最も即効性がある教員数の増加は財政上難しく、結果的には、家庭や地域にその役割を求めるところに落ち着いています。

しかし、具体的にどんなことに取り組むのか。その方向性は全く見えてこないのが現実です。地域は、すでに昔のようなコミュニティーが崩壊した中で役割を求められても難しいでしょうし、保護者にとっても、専業主婦が中心であった時代と同じような役割は到底受け入れられないと思います。

ただ、教員がこれ以上業務を抱えられない現状を打開するには、子供たちに最も近い当事者である保護者が果たせる役割は極めて大きく、唯一の手段だと考えます。したがって、教員の働き方改革を成し遂げるには学校と家庭の関係を根本的に見直していく必要があります。ただしこの見直しは、学校と個々の家庭の単位で考えていくものではなく、また、子供に関わる事柄を押し付け合うものでもありません。PTAという組織や活動を工夫することによって、学校と保護者は効率的に結び付くのです。

本校は2019年度1学期、PTA運営委員会での議論ののち、家庭訪問の希望制や通知表所見欄の削減を実現しました。議論の過程で、それぞれ長年続いてきた経緯や、学校が考える意義や弊害について説明し、保護者からも忌憚(きたん)のない意見を出してもらいました。教員の負担軽減になることを保護者が積極的に受け入れ、その軽減分が結果的に生徒への効果的な指導につながるなら素晴らしいことです。

現在、教員が無理をして抱えているさまざまな活動のほとんどは「やってあげるに越したことはない」ものが多く、それゆえにやめる決断を鈍らせています。多くの保護者の理解を得られれば、やめる勇気を持てるようになるのではないでしょうか。

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