【IN-Child(8)】理解と納得を促す教育

琉球大学教育学部教授 韓 昌完

「理解できるけど、納得はできない」という言葉をよく耳にする。何かしらもやもやを感じているのだろうが、意味を問われるとうまく表現できないことも多い。あえて説明するなら、「経験上、そういう言動や物事について知ってはいる。だけど、どうしても個人的に受け入れ難い」というところではないだろうか。またここから「理解」と「納得」が違うものであることが分かる。自分の中に落とし込むには「納得」の段階まで必要、というポイントが見えてくるように思う。

では理解とは何か、納得とは何か。理解とは、新しい情報に直面した際、その人の中に蓄積されている情報(知識)とつながることにより生じる人間の意識活動であり、その程度は行動の変容からみることができる。納得とは、理解された情報が他者と相互に影響し合う中で構築される信頼関係と融合した場合に生じる、より主観的な意識活動であり、流動的で、行動の変容を促すものである。つまり、納得すればおのずと行動にも表れてくる。

例えば、誰かに「勉強しなさい」といった人は、自分が真剣に勉強(や仕事)をしている姿を見せていただろうか。「自分だって勉強していないのに人のことばかり」と思われてしまったら、納得につながる信頼関係はできないだろう。

子どもの教育も同じだ。子どもが理解しやすい環境をつくり、子どもが納得するための信頼関係を築くことで、教育の質は飛躍的に上がるだろう。つまり、大人が子どもに対して①どう情報を与え②どう促し③どう関わるか――が「理解」につながる。そして、大人と子どもとの間で①どう信頼関係をつくるか②どう子どもの考え方を尊重するか③どう行動の変容を促すか――で「納得」にまで至るのだ。

難しく考える必要はない。五感を刺激するような経験や、大人の話を聞かせる機会などで、子どもが持つ情報のかけらを一つでも増やし、大きくするイメージを持つ。その上で、子どもの興味・関心がある内容と結び付け、子どもが使う言葉を繰り返したりしながら発言に耳を傾け、苦手なことは無理強いせずに取り組ませる。何も特別なことではなく、日常の一場面で少し意識してみればいい。

子どもの中でそれらが形になるのは今かもしれないし、ずっとずっと後かもしれない。直接何かが変わるわけではないかもしれない。しかし、私たち大人との関わりの中で触れた一言一言が確実に積み重なって子どもたちの概念をつくり、思考をつくり、そして行動となって表れるのだ。

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