【見落としがちな道徳の本質(8)】「友情、信頼」を考える

東京都教職員研修センター教授 朝倉 喩美子

ロレンゾの友達

高学年の教材「ロレンゾの友達」。20年ぶりに村に帰ってくるロレンゾは警察に追われているらしく、3人の友人はどうしたものかと相談する。アンドレは「お金を持たせて黙って逃がしてやる」、サバイユは「自首を勧め、嫌がったら逃がしてやる」、ニコライは「自首を勧め、嫌がったら警察に連れて行く」と言う。結局ロレンゾは無実と分かり事なきを得るのだが、もし本当に罪を犯して逃げてきたならどうしただろう――。

この教材を使って「誰の考えに共感するか」、またその理由を考えさせることが多い。選択の理由は友情に関する考え方を反映する。どれが真の友情か、子供たちに尋ねて意見交流を図る。ニコライ派がやはり多いが、意外と人気があるのはサバイユで、「最終的に本人の意思を尊重する」ところに友情を感じるという。

しかし、ある5年生の授業で、あぜんとするアンドレ派の考えが発表された。……

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