【新たな英語学習のアプローチ(10)】授業における学習評価

上智大学言語教育研究センター非常勤講師 山ノ内 麻美

授業にCLILを取り入れても、評価は定期テストのみで、出題も教科書ベースの語彙(ごい)問題や長文読解、文法演習だけでは問題がある。

まず学習者である生徒は、CLILのグループワークにおける課題解決のタスクを、何をどのようにして改善すべきか分からない。授業中に教師から与えられる奨励や課題点の指摘も、学習者にとっては貴重な評価だ。フィードバックを積み重ねていくことで、学習者はどのような力が求められているかを把握し、最終目標に向けて計画的に学習できる。

もうひとつ問題なのは、定期テストで評価できるのが言語知識(Communication)のみという点だ。4つのC(Content, Communication, Cognition, Culture/Community)のフレームワークを取り入れた授業を実践し、その中で社会的なテーマを扱っていたとしても、言語知識のみを問う試験内容では、テーマについて深めた学びが評価されないままに終わってしまう。CLILをCLILたらしめるのが教科や社会的テーマ(Content)であり、その学びを評価することは絶対条件である。

例えば「地球温暖化」について学習したのであれば、その仕組みを説明させる筆記問題を出題することで、内容をどれだけ理解しているか判断できる。ここで注意したいのは、英語力を問う設問と、内容の理解度を測る設問を分ける必要があることだ。英語力を問う設問は、語彙や文法の理解度、応用力をみる。

一方内容理解に関する設問では、テーマの内容について説明させる。そのとき文法やスペルのミスが多少あったとしても、意味が通じるかどうかを最優先させるのが大切だ。せっかく内容を理解できていているのに、スペルミスで一切評価されなかったとしたら、学習者の意欲は低下してしまう。

そしてさらに大切なのは、CLIL型授業の第4段階であるProduction(話す・書くことによって生まれた成果物)を評価することだ。学習テーマに関するまとまりのある文章を書かせたり、プレゼンテーション活動を評価したりすることで、バランス良くアウトプットの力が付く。

最後に、CLILを取り入れて私自身が一番感心したのは、学習者にはさまざまな顔があるということだ。英語の知識ばかりを問う授業をしていたときには見えなかったきらっと光るまなざしや、思考力の深さ、表現力の豊かさには驚かされた。

CLILを取り入れた授業は、授業設計や教材準備に時間と労力が要るため、一人の教員が明日からすぐ実践しようとしても容易ではない。だからこそこれからの日本のCLILの発展には、多くの教員が小さな規模で実践を重ね、その知見を広く共有する必要がある。さまざまな学校機関で、実践例を聞ける日を楽しみにしている。

(おわり)

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