【ICEモデル(3)】アクティブラーニングの効果検証

京都情報大学院大学副学長・教授 土持 ゲーリー 法一
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『学習経験をつくる大学授業法』(玉川大学出版部)の著者ディー・フィンク博士は、「学びが引き起こされるには、学習者の中に何かしらの変化が起きなければならない。変化がなければ、学びもない」と述べている。学習者の学びを引き出すのが教員の役割である。

しかし、アクティブラーニングの効果を疑問視する教員は少なくない。特に、大学受験を控えた高校では、学習時間を割いてまでアクティブラーニングをする意義がどこにあるのかと批判する教員もいる。

これに関連してフィンク博士は、2012年に帝京大学で「能動的学習~学生を学習させるには~」と銘打ち講演した(第1回FDフォーラム)。講演では、ノーベル物理学賞受賞者である米国のカール・ワイマン博士の実証的な比較研究(※)を基に、アクティブラーニングがいかに効果的であるかを紹介した。

その研究においては、通常のクラスと、アクティブラーニングを取り入れ、グループで問題解決に取り組んだり、フィードバックしたりする実験クラスを比較した。結果、アクティブラーニングを取り入れた実験クラスでは出席率が伸び、学生の積極的な関与の割合も増えたという。驚くべきは、学習成果も飛躍的に伸びた点である。


P説=ワイマン博士による実験結果(Carl E. Wieman“Improved learning in a large-enrollment physics class”を基に作成)

図は、12問の共通テストでどちらの学生グループが何問正解したかを表したデータである。テストの正解に関して、通常クラスの学生とアクティブラーニングを取り入れた実験クラスの学生との間に大きな差がみられた。通常クラスのグループで4~5問正解者が最も多かったのに対して、アクティブラーニングを取り入れた実験クラスのグループは、11問正解した者が最多だった。

12問目は実験クラスのグループでも正解者はそう多くなかったが、問題は講義で教わっていない内容だった。つまり、正解した学生はそれまでの学びを能動的につなぎ、解を導きだすことができたというわけだ。

このようにワイマン博士の実験によって、アクティブラーニングには未知の問題に果敢に挑戦できる態度を育てる効果があると実証されたのである。

※ワイマン博士が11年5月に『サイエンス』誌で発表した論文(Improved Learning in a Large-Enrollment Physics Class)による

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