【「ギフテッド」の子供たち(3)】ギフテッドと2E

どんぐり発達クリニック、ギフテッド研究所理事長 宮尾 益知
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ギフテッドは、具体的にどのような子供なのだろうか。実際にクリニックに来ている、ある小学生のギフテッドを例に挙げよう。

学校では「勝ち負けのこだわりが強く、短距離走で負けると怒って大声で叫ぶ」「声の大きさを制御するのが困難で、いつも大声で話しがち」「我慢することが苦手で、授業中に挙手して教師に当てられないと泣いてしまう」といった様子がみられる。授業中は別のことで気が散っているのか、聞いているのかいないのか分からなくなることもままあるという。

家庭では「手先が不器用で食事や着替えに時間がかかる」「興味のあるなしにかかわらず、想像力を膨らませて延々と話す」「長い話やあらゆるジャンルの本を集中して読める一方、書くことは不得意。バランスの悪い力の入った字で時間がかかる」「計算する場面では途中経過を省略するため、簡単なミスをしてしまう」「会話の中で『~だから』とよく考えて質問をするが、人の話は聞かず自分の言いたいことを主張する」といった様子だ。

行動面では、注意集中に偏りがあり、関心があることには集中力を発揮するものの、そうでなければ全く取り組もうとしない。マイペースで、行動の多くはスローで不器用。

情緒面は明るく前向きだが、幼く、母親との距離も年齢不相応に思われる。対人関係では、相手に関心があっても空気が読めず、余計な一言を言ってしまうことがある。

知能検査の結果、総IQは123、言語性理解131、知覚推理122、ワーキングメモリー112、処理速度96で、言語性理解とワーキングメモリー、知覚推理の間、知覚推理と処理速度の間に有意差が確認できた。

ADHD(注意欠如・多動症)のチェックリストは陽性で、言語理解とワーキングメモリーの有意差から、ギフテッドであるがADHDであるとも考えられた。対人関係と社会性の障害があり、自己中心的で時間概念がないなど、保護者にはASD(自閉スペクトラム症)とも考えられると伝えた。

併せて作業に時間がかかることも説明し、日常生活の構造化(自閉症的アプローチ)や、当たり前のことをほめながら、後で少し一緒に反省してみるなどの行動療法的・ADHD的アプローチを指導していくことにした。

医師の姿勢として、子供の考え、行動に共感し、認めることから始め、自分を認めてくれる先達の役割を果たしながら治療を行ってきた。この小学生のように、ギフテッドには発達障害の要素を持っている子供が多く、2E(twice-exceptional:二重に特別な)とも呼ばれる。このような子供たちには、ギフテッド教育だけでなく、ギフテッド医学も構築する必要があると考えている。

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