【ICEモデル(4)】アクティブラーニングの評価は可能か

京都情報大学院大学副学長・教授 土持 ゲーリー 法一
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ディー・フィンク博士は筆者との対談で、「アクティブラーニングには3つの活動レベルがあり、互いにつながっている」と説明している。

1つ目は、学生が「情報あるいはアイデア」を何らかの方法で学ぶ講義や、読書などが含まれる。2つ目は「経験」であり、ここでアクティブラーニングが顕著になる。3つ目が「省察(振り返り)」で、最近、米国で注目され始めている。フィンク博士との対談の詳細は、筆者が顧問を務める「主体的学び研究所」のホームページで確認できる。

この「省察(振り返り)」こそ、アクティブラーニングの評価の鍵を握っていると言える。実際に筆者がインタビューしたクイーンズ大学のある物理学の教授は、学生の評価で「伸びしろ」にウエートを置いていたのが印象的であった。このように、アクティブラーニングでの学びの評価は、これまでに何を学んできたかという過去へのベクトルだけでなく、未来にも向けられているのである。

評価方法と分類目標の関係(出典:『ラーニング・ポートフォリオ―学習改善の秘訣』土持ゲーリー法一、東信堂、2009)

しかし、大学の教員と同じように小中高の教員も、自らの授業にアクティブラーニングを取り入れることには消極的である。理由の一つに評価の難しさがある。

従来の授業スタイルを踏襲すれば、評価をはじめ授業準備や試験問題の作成も容易にできる。それがアクティブラーニングを導入すると、授業の進路が不透明になり、教員の授業運営も問われるようになる。こうした要素がアクティブラーニングへの消極的な姿勢を生んでいるのである。

ところが、教育パラダイムから学習パラダイムへの転換を機に、アクティブラーニングが広がるようになった。それに伴い、アクティブラーニングにおいて「どのように学習成果を可視化するか」という問題を避けて通れなくなってきた。

これまでは学習者の知識だけを評価すればよかったが、アクティブラーニングの導入によって技能・態度の領域も評価の範疇(はんちゅう)に加わり、多くの教員の頭痛の種となった。アクティブラーニングでは点数化が難しく、質的に評価しなければならない。

この悩みを解決する方法は図で示したように、ポートフォリオ(ラーニング・ポートフォリオ)しかない。ポートフォリオは知識・技能・態度の3つの領域を幅広く評価できるからである。

では、ラーニング・ポートフォリオによる評価は具体的にどのような考え方で実施すればよいのだろうか。次回以降に詳しく解説する。

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