【ICEモデル(5)】ラーニング・ポートフォリオ

京都情報大学院大学副学長・教授 土持 ゲーリー 法一
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ラーニング・ポートフォリオの世界的な権威であるコロンビア・カレッジのジョン・ズビザレタ教授は「学生のラーニング・フィロソフィー(学習哲学)はラーニング・ポートフォリオの中核となるもので、学習プロセスの省察(振り返り)がアクティブラーニングにつながる」と述べている。これは、ディー・フィンク博士が述べたアクティブラーニングにおける「省察」(第4回参照)と同じ考えである。

ズビザレタ博士は、ラーニング・ポートフォリオは学習成果のみならず、学習への動機付けや学習プロセスへの省察的実践につながると指摘している。

ラーニング・ポートフォリオを構成する重要な要素は、①リフレクション(省察)②ドキュメンテーション(証拠資料)③コラボレーションとメンターリング――の3つである。どの要素の領域でも学びは起こるが、①~③の領域が互いに重なるときに最大限の学習効果があるとされている。その中心が「深い学び」と呼ばれる領域である(図)。

ラーニング・ポートフォリオの3要素

ラーニング・ポートフォリオの鍵は「批判的省察学習」であるとズビザレタ教授は説明する。教授が教えている英文学のクラスでは、学生から「なぜ、英文学の授業で批判的省察を学ぶ必要があるのか」と素朴な疑問を受けることがあるという。

それに対しては、「大学では知識だけを学ぶのではなく、『学び方を学ぶ(Learning how to learn)』ことも重要であるからだ」と諭しているという。

クイーンズ大学が実施した調査でも、学び方を学ぶ「学習プロセス」に重点を置いていることが明らかになった。「終わりよければ全てよし」ではないが、試験が全てと考える傾向の強い日本とは真逆である。結果ではなく、学習プロセスこそが次のステップにつながる重要な要素という認識である。

しかし学生の多くは「何を学んだか」(What I have learned)に関心が偏り、試験や点数ばかりを気にしている。彼らは卒業後数年もたたないうちに、英文学のことなど忘れてしまう。これに関しては、拙稿「学び方を学ぶ―新しい教養教育への挑戦」(『主体的学び』6号、東信堂)で詳しく述べているので参照してもらいたい。

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