【「ギフテッド」の子供たち(5)】ギフテッドの多面的理解

どんぐり発達クリニック、ギフテッド研究所理事長 宮尾 益知
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一般的にギフテッドは、同年の人間よりも早く(速く)、深く、広く学ぶ傾向にある。幼いうちから言葉を発したり文字を読んだり、年上の子供と同レベルで学習することもある。

高い論証能力、独創性、好奇心、想像力、洞察力、芸術性、共感的理解、豊富な語彙(ごい)、ずば抜けた記憶力など、優れた能力を持っている場合が多いが、全てのギフテッドがそうであるわけではない。わずかな反復学習で全体の概念を修得できる一方、完全主義に陥りやすい傾向もある。

ポーランドの精神科医カジミェシュ・ドンブロフスキは、1960年代にギフテッドについて「積極的な分離」という人格形成理論を主張した。理論の核をなすのは「刺激に対する並ならない反応(OE Overexcitabilities:過度激動)」。すなわち、過度に激しい感情や激しい感受性を持ち、普通の人なら気にならないような刺激に対しても過剰な反応を示す性質であり、こうした強い精神反応がギフテッドの心理的な成長に不可欠だという理論である。

反面、ギフテッドの落ち着きのなさや感覚過敏、過剰な感情性などの特徴は、精神医学的観点から時に発達障害、精神障害的要素として理解されることがある。

こうしたギフテッドの子供たちに、「学校」はどのように映るのか。

授業では興味のあること以外やりたがらないケースがほとんどだ。本人が意味を見いだせない暗唱や機械的な丸暗記を嫌がったり、課題に集中できずに白昼夢の中にいたりする。したがって、一般的な学校の勉強の成績は芳しくないことが多い。

また、クラスの同級生をはじめ、周りとうまく合わせられない。その結果、学校で問題児扱いされたり、逆に、繊細さや感受性の豊かさから過度に周囲に同化しようとして、意図的に能力以下の成績を修めたり、特異な才能を隠そうとしたりするケースも少なからずある。

このようにギフテッドの子供たちは、一般的な学校教育の下では優れた成績や才能を発揮できず、学校がその才能をフォローするのも難しい。

欧米ではギフテッドの子供それぞれの才能を伸ばす英才教育が行われている。次回は、ギフテッドの子供に対して、教師をはじめとする大人がどのように接していけばいいのかみていきたい。

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