【「ギフテッド」の子供たち(9)】子供の才能をどう伸ばしていくか

どんぐり発達クリニック、ギフテッド研究所理事長 宮尾 益知
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ギフテッドや2Eの子供はさまざまな分野に興味を持ち、深い理解と追究を重ねている。しかし、自閉症スペクトラムと異なり、いつまでも特定の関心事に執着しているわけではない。追究していくうちに、最先端のことを知りたくなる。彼らの才能を伸ばすために、ポイントとなるのがこの「移り気」である。ただ、最新の、そして深い知識を求める彼らにとって、インターネットは常に正しい知識が得られる空間ではなく、知識欲は満たされない。

そこで期待されるのがSTEAM教育である。これからの時代に重視されるScience、Technology、Engineering、Mathematicsの4分野に、Art(Arts)が加わったこの教育システムは、「学際的なアプローチ」「アカデミックと現実世界の融合」「学校と社会の接続」をしながら学ぶところに特徴がある。

STEAM教育を通して、ギフテッドや2Eの子供たちの優れた部分を伸ばすには「STEAM Library」という海外のサイトも参考になる。

日本では、経産省の事業である「未来の教室とEdTech研究会」でSTEAM教育の重視や学びの個別最適化などがうたわれている。ギフテッドや2Eの子供への支援も課題のひとつとして検討され、それをテーマにした会合では筆者も報告を行った。

「未来の教室―」では、学校向けに授業編成や指導案のモデルプランが明示されており、学習内容に加えて、実際の授業に落とし込む際に必要なサポートを用意しようとしている。

その中の一つに、オンライン・ライブラリーの構築(STEAMライブラリー構想)というものがある。ライブラリーには、STEAM学習コンテンツや、現場で授業を実施していくためのサポートコンテンツを掲載できる。

これによって、単純なライブラリー機能に加えて、互いに公表・活用するための協働・共有が起きる仕掛けも備えられ、子供たちが本物の課題に触れて、本質的なキャリア観を醸成する場としての機能が期待される。

STEAMライブラリー構想は、専門高校や高等専門学校、民間のファブラボ(デジタル機材などを備えた工房)での活用を想定しているようだが、こうした充実したライブラリーを使うことによって、全国のギフテッドや2Eの子供たちが最先端にアクセスできる可能性も高まる。

学びの場は学校だけとは限らない。こうした知のプラットフォームで、関心のあることをどんどん自分のペースで学べるようになれば、彼らの才能を伸ばすチャンスも増えるのではないだろうか。

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