【「ギフテッド」の子供たち(10)】クリニックのオーク発達アカデミー

どんぐり発達クリニック、ギフテッド研究所理事長 宮尾 益知
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この連載では、ギフテッド・2Eの子供たちが持つ特性について考えてきた。海外に比べギフテッドの認知が進んでいない日本では、彼らに適した教育機会を十分に提供できていない現状についても指摘した。

しかしここへきて、日本でも経産省の「未来の教室」構想やNHKの『クローズアップ現代』などで取り上げられたのを足がかりに、ギフテッドの子供たちへの本格的な支援や研究が始まろうとしている。子供たちのサポートに名乗りを上げる企業も出てきた。

連載の最終回に、私がギフテッドの子供たちの教育の場として立ち上げた「オーク発達アカデミー」の活動を紹介したい。

アカデミーでは専用ウェブサイトを開設し、保護者同士の交流、情報交換の場を提供している。また、定期的に開催する「親の会」では、保護者たちが自身の体験を語り合い親睦を深めている。ギフテッドはその親もまたギフテッドであるケースが多く、子供とより良い関係を築くためにも、こうしたネットワークから得られるアドバイスは貴重である。

ギフテッドである親が自分の能力を生かせる仕事に就き成功しているなら、どうやってそれをかなえたか、またそこに至る苦労なども語ってもらうようにしている。こうして保護者同士のつながりができれば、さまざまな資源を融通し合えるようになるとも考えており、期待している。

子供たちには、仮想現実(VR)や360度カメラ、ドローンなど最先端の技術に触れられる体験会を開いている。協力を仰いでいるリコーのICT研究所の研究員が、単なる機器の紹介ではなく、歴史や理論的背景について専門家が大人に説明するように話してくれる。

解説の後は、子供一人一人にパソコンを渡して、実際にプログラミングして機器を動かす機会も提供している。こうした最先端技術や専門家との出会いこそ、ギフテッドの子供たちが求めているものだ。

今後は、3Dプリンターや自動運転の仕組み、VRによる視線移動の実際、ウエアラブルデバイスを用いた自己理解、非言語的メッセージのリアルタイム翻訳の仕組みなどの体験会も実施していきたいと考えている。

このようなギフテッドの子供たちのための教育の場が、日本においてもより身近なものとなってほしい。今後研究が進み、ギフテッドの子供たちへの対応の仕方や教育方法が確立すれば、彼らは周囲の助けも借りながら自分の才能を思う存分伸ばし、無理なく社会生活を送れるようになるだろう。そして彼らの才能が、技術革新や世の中の発展に貢献していく。そういう社会が一日も早く実現するよう夢見ている。

(おわり)

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