【自己肯定感を育む11の方法(2)】 やる気に満ちているか

MP人間科学研究所代表/心理学博士 榎本 博明
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学生たちの悩みにもいろいろあるが、モチベーションの低さを嘆く者が少なくない。

「子どもの頃は、もうちょっとモチベーションが高かったと思うんですけど、いつの間にか何をするにも適当になっちゃって」「課題をやらなくてはと思っても、どうしてもやる気になれなくて。試験勉強も全くやる気がしなくて、単位落としまくりです」

このように「やらなければならないことがあってもやる気になれない」と口にする学生たちは、当然ながらそのような自分を肯定できずにいる。「そんな自分が嫌でたまらない。どうしたらやる気になれますか」「自分を変えたいんですけど、モチベーションの高い人って何が違うんですか」などと聞いてくる。

そうした相談が多いため、授業の中でもモチベーションの仕組みについて解説しつつ「これまでの人生を振り返って、何に対してもモチベーションが低かったという人はいないのでは? 部活動を頑張った人もいるだろうし、子どもの頃は何かの遊びに夢中になったこともあったんじゃないかな」などと伝えるようにしている。

すると授業後に「自分はモチベーションのない駄目人間だって思ってたけど、サッカーを頑張っていた頃の気持ちを思い出しました。気持ちの持って行き方次第で勉強にも応用できそうですね」「吹奏楽の部活動で悩みながらも必死になって練習していたときのことを思い出して、自分も頑張れるのかもしれないなって思えてきました」などと言いに来る。

教師も、生徒のやる気を引き出すためにさまざまな工夫を重ねているだろうが、見かけ上の面白さを追求するよりも、できないことができるようになる喜び、分からないことが分かるようになる喜びに目を向けさせることが大切である。

さらに日本人の場合、人間関係の影響が大きく、人の期待に応えたいという形のモチベーションに動かされることが多い。これは日米比較研究でも証明されている。

大切なのは、生徒との間に良好な関係を確立することである。そのためには、日頃から子どもたちの様子を見ながら、積極的に声掛けをすることが欠かせない。その中で本人の成長や熟達を意識させるように導くのである。やる気のある自分を発見することが、自己肯定感につながっていく。

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