【こども哲学(7)】学校外での「こども哲学」

NPO法人こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ
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今回は、学校外での小学生の「こども哲学」について取り上げたい。

全国各地の学校での取り組みが始まるのとほぼ同時期に、学校外でも小学生との「こども哲学」が試みられるようになった。

場所は、街中のカフェや、公民館・美術館といった公共施設。主催は母親たちや、各施設を運営している公共団体などまちまちである。開催頻度も、1回きりのものから、毎月1回1年間までさまざまだ。いずれも「こども哲学」に魅了された大人がキーパーソンとなり、始まることが多い。

アーダコーダでも、これまで多様な場所で実施してきた。その1つである森美術館の事例を紹介したい。

森美術館では、これまでに2回(2017年:キッズ・ワークショップ「レアンドロ展で“こども哲学”しよう」、19年:まちと美術館のプログラム 森美術館×MIRAI SUMMER CAMP「塩田千春展で“こども哲学”しよう」)を実施した。いずれもプログラム内容は、展覧会を鑑賞した後、子どもたち自身が問いを立て、その問いについてみんなで一緒に話し、考えるというものだ。

そう言うと「現代美術は子どもたちにとって難しいのではないか」「作品を前になかなか話すことができないのではないか」と心配される方もいるかもしれない。実際はどうだったのだろう。

19年に鑑賞した塩田千春展「魂がふるえる」では、作品を鑑賞し、不思議に思ったことや「なぞ」だと感じたことを書き留め、「そこから1人1つ問いを立ててみよう」と呼び掛けた。

出てきた問いは「魂と命はどう違うのか」「消えると死ぬは同じか」「すごい芸術とは何か」など。問いを出し合った後は、さらにその問いについて話しながら考えていく。子どもたちは初対面だったが、真摯(しんし)に問いに向き合い、互いの発言に耳を傾け、考えている様子がうかがえた。

イベントとして行うもののほか、最近では継続的に取り組むところも増えてきている。東京都江東区にある古石場文化センターもその1つだ。ここでは15年から、センターの提供する講座の1つとして「こども哲学」を開始。19年は、半期全6回の講座として実施した。講師はアーダコーダのメンバーらが務めている。

学校でも家でもない、こうした第3の場所で行われる「こども哲学」は、子どもたちにとって、普段の友達関係から一歩離れ、多様な価値観に触れ、自分の思考の枠組みを広げるチャンスになっているように思う。

(アーダコーダ理事 井尻貴子)

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