【自己肯定感を育む11の方法(4)】短所も含め自分を受け入れているか

MP人間科学研究所代表/心理学博士 榎本 博明
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前向きに生きている人間は「自己受容」ができている。その意味で、自己受容は自己肯定感を育むために必要不可欠な条件と言える。では、これはどんな心理状態を指すのだろうか。

自己受容を促進するために、本人ができることに着目させるアプローチが取られることがある。できないことだらけで「自分は駄目だ」と思い込んでいる子に「あなたはこれができるよね」と目を向けさせ、自分の長所を自覚させることで自己受容を促そうとするものである。間違いではないが、それだけでは十分でない。

なぜなら、誰しもできないことはあるし、短所もあるからだ。いくら頑張っても「できない自分」、自分なりにここは駄目だなと思う「短所を持つ自分」、そういう面も含めて、自分を丸ごと受け入れるのが自己受容である。これがないと「どうせ自分なんか」といじけてしまい、「もっとできるようになりたい」「短所を少しでも克服したい」といった向上心が湧いてこない。

だからといって、「そのままの自分でいいんだよ」というようなアプローチは間違っていると私は思う。それは、頑張りすぎたり、傷つきすぎたりした子に「張りつめた気持ちを少し緩めるといいよ」「そこまで自分を責める必要はないよ」と伝えるときに用いるメッセージである。

通常は、頑張ろうという気持ちや悪いことをした自分を責める気持ちがなければ困る。そこを勘違いした似非(えせ)心のケア的アプローチが取られるばかりに、「頑張れない心」「反省できない心」が生みだされてしまう。

大事なのは、もっとましな自分になりたいという気持ちを応援することである。そして、成果にはなかなかつながらないけれど頑張っている自分、短所だらけだけれど一生懸命に生きている自分、そんな自分を受け入れられるように促す。自己受容が進むと自己肯定感も高まる。また、他者受容も進み、人間関係が良好になる。それによってさらに自己肯定感が高まっていく。

自己受容を促す対話には、教師の温かいまなざしが必要である。教師に受容された体験を積み重ねることで、生徒の自己受容が進んでいく。

同時に「まだまだ至らないことだらけだけれど、より良い教育者になりたいと思い、一生懸命に頑張っている」という感じで、教師自身が自己受容できていることが大切になる。生徒との対話の中で、そうした思いを伝えるのもよいだろう。まずは教師自身が生徒の自己受容のモデルとなることだ。

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