広 告

最近の子どもや若者の自己肯定感の低さには、自己効力感の低さが関係しているように思われる。「粘り強さがない」「すぐに諦める」といった心理傾向が指摘されるが、そこにも自己効力感が絡んでいる。自分にできる気がしないのだ。自己効力という概念の提唱者であるアルバート・バンデューラは、期待を「結果期待」と「効力期待」に分けた。結果期待は「こうすればうまくいく」という期待を指す。効力期待は「自分はその行動を取ることができる」という期待であり、いわば、自分はそれができるという自信である。結果期待は、例えば、この問題集をマスターすれば試験で良い成績が取れるはず、毎日素振りをしっかりやれば試合に出られるはず――といった期待である。このような期待があっても、必ずしもその行動を取るとは限らない。大人だってそうだろう。こうすればダイエットに成功するはず、このような行動を毎日取れば成人病を防げるはずと分かっていても、なかなか実行には移せないものである。そこで決め手となるのが効力期待だ。この問題集をマスターすれば試験でうまくいくと分かっていても、「自分にはちょっと無理かなあ」と思う子はなかなかうまくいかないが、「自分はきっとできる」と思う子は高いモチベーションを持って継続的に取り組めるため、うまくいく可能性が高まる。どうすればよいかが分かっていてもできないのは、結果期待はあっても効力期待がないからだ。バンデューラは、効力期待がモチベーションには非常に重要と考え、これを自己効力感と名付けた。何らかの目標を達成するために必要な行動を取ることができるという自信である。その自信が自己肯定感につながっていく。やるべきことを最後までやり抜くかどうかは自己効力感次第と言える。では、どうしたら自己効力感を高められるのか。威力を発揮するのが習慣形成だ。例えば、毎日1時間机に向かうのが習慣になっていれば、当たり前のように机に向かう。継続するのに意志の力を必要としない。習慣形成の意義は、まさにそこにある。習慣形成によって、意志の力なしに、ほぼ自動的に望ましい行動が取れるようになる。そこで、何でもよいから何らかの習慣形成を促すのである。そのうち習慣化すると、ほぼ自動的にその行動が取れるようになる。「自分は継続することができた」と実感することによって、自己効力感が高まる。

広 告
広 告