【自己肯定感を育む11の方法(9)】苦手な相手とも無難に関われるか

MP人間科学研究所代表/心理学博士 榎本 博明
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私たちは、親しい絆によって支えられているが、面倒な相手との関わりには大いに頭を悩ますものである。人間関係は、ストレス緩和効果を持つ一方、ストレス源にもなり得る。

社会人の2大ストレス源は過労と職場の人間関係とされるが、子どもや若者にとっても、人間関係が大きなストレスになっていたりするのである。

コミュニケーションが苦手な子どもや若者が増えていることから、新人採用に当たってほとんどの企業がコミュニケーション力を最も重視している。なぜコミュニケーションが苦手なのかと言えば、集団遊びが少なくなったからである。

昔は近所の子どもたちの集団遊びがあった。そこでは、年齢に関係なくみんなで遊んだ。年上の子と遊ぶことで、頼ったり従ったりする関わりになじむ。年下の子と遊ぶことで、保護したり注意したり、大目に見たりする関わりになじむ。親しい子ばかりでなく、あまり親しくない子や仲の悪い子とも遊ばねばならないため、いろんな距離感で関わる訓練になる。

しかし現代では、特に親しい数人の同級生とのみ遊ぶ傾向が強く、いろんな距離感で関わる経験が乏しい。あまり親しくない友達とは、ほとんど関わらずに過ごすことができる。似た者同士で過ごすばかりなので、異質な相手とどう関わったらよいか分からない。加えて、習い事や学習塾に通う子どもが多く、子ども同士で遊ぶ経験自体も乏しくなっている。

「人間」という文字を見れば分かるように、私たちは人との間を生きる存在である。人との間のほかに生きる場はない。ゆえに、人間関係をうまくこなせないと、自分に自信を持つことができない。自己肯定感を保つには、人間関係を無難にこなしていく必要がある。

特に問われるのが、苦手な相手と関わる力である。親しい相手と関わることはできても、苦手な相手とはうまくいかないという子どもや若者が少なくない。大人になっても、苦手な相手と関わると思うだけでお腹が痛くなり、取引先を訪問できずに逃げてしまったり、職場に出社できなくなってしまったりする人もいる。

ゆえに、学校時代に、特別親しいわけでもない友だちとも関わる経験を積んでおくことが大切である。それを後押しするためにも、教師には、いろんな友だちと関わる機会を与える工夫が求められる。

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