【自己肯定感を育む11の方法(11)】逆境に負けない自信があるか

MP人間科学研究所代表/心理学博士 榎本 博明
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人生は思い通りにならないことの連続といっても過言ではない。試験で思うような成果が出ない。受験で志望校に合格できない。部活動でレギュラーになれない。友達と仲たがいしてしまう。失恋する――。

数え切れないほどの挫折に見舞われるのが人生である。そのたびに「心が折れた」と落ち込んでいたら、人生の荒波を乗り越えていくことができない。当然、自己肯定感は低くなる。

そこで重要になるのがレジリエンスである。レジリエンスは「復元力」と訳される。もともとは物理学用語で「弾力」の意を持つが、心理学では「回復力」「立ち直る力」を意味する。

より具体的に言うと、困難な状況でも心が折れずに適応していく力、挫折して落ち込んでもすぐに回復し立ち直っていく力、きつい状況でも諦めずに頑張り続けられる力である。レジリエンスが低いと、困難な状況を耐え抜くことができない。そんなときに口にするのが「心が折れた」というせりふだ。

レジリエンスの研究は、逆境に強い人と弱い人の違いはどこにあるのかという疑問に端を発している。過酷な状況にあって、一時的に落ち込んでも、すぐに回復する人もいれば、いつまでも落ち込んだままで、なかなか日常生活を立て直すことができない人もいる。

これまでに行われてきたさまざまな研究を基に、レジリエンスの高い人の特徴として、次のような性質が抽出できる。

・自分を信じて諦めない

・辛い時期を乗り越えれば、必ず良い時期が来ると思うことができる

・感情に溺れず、自分の置かれた状況を冷静に眺められる

・困難に立ち向かう意欲がある

・失敗に落ち込むよりも、失敗を今後に生かそうと考える

・日々の生活に意味を見いだせる

・未熟ながらも頑張っている自分を受け入れている

・他人を信じ、信頼関係を築ける

こういった心の癖を持つ人は、思い通りにならない厳しい現実に押しつぶされそうになり、一時的に落ち込んだとしても、決してつぶされることなく立ち直っていける。

このような心理傾向を踏まえた対話を通して、子どもたちのレジリエンスを高めるようなアプローチを心掛けたい。同時に、教師自身も困難な状況に追い込まれがちな時代であるだけに、レジリエンスを高めるべく、これらの心理傾向を意識するようにしたい。

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