【自己肯定感を育む11の方法(12)】ストレス対処はできているか

MP人間科学研究所代表/心理学博士 榎本 博明
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学校生活には楽しいことがたくさんあるものの、勉強面や友人関係でストレスがかかるのも事実である。勉強で成果が出ない子は、苦手だからといって勉強を放棄するわけにいかない。

一方、勉強ができる子にも、好成績を維持するストレスがある。気の合わない子がいても、一緒のクラスにいる限り、関わらないわけにいかない。ストレスに押しつぶされそうな毎日は苦しいばかりだし、自己肯定感も低くなってしまう。

ストレスが避けられないものだとしたら、その悪影響を緩和する必要がある。そこで重要なのがストレス対処だ。ストレス対処は、課題思考型と情動志向型に大別できる。

ストレスの元となっている問題を解決しようとするのが、課題志向型だ。勉強の成績が悪いことがストレスになっているなら、良い成績が取れるように勉強のやり方を工夫する。友達付き合いがストレスになっているなら、付き合い方を見直す。

ただし、現実にはなかなかストレス源となっている問題を思うように解決できないことが多い。そこで威力を発揮するのが、情動志向型だ。いわゆる気晴らしや気分転換である。趣味に浸ったり、運動したり、気心の知れた友達とおしゃべりしたりして、ため込んだ鬱憤(うっぷん)を発散したり、気持ちを切り替えたりする。

情動志向型で重要なのが自己開示できる相手を持つことだ。苦しい胸の内を誰にも話せないのではストレスがたまる一方である。ただ、そのような友達が持てないこともある。教師が話し相手になれればよいが、難しい場合はカウンセラーに話せるような環境づくりが欠かせない。

自己開示には、カタルシス効果や自己明確化効果がある。胸の内にため込んだ思いを吐き出すと気持ちがスッキリするだろう。これがカタルシス効果である。そして、思いを人に話しているうちに自分の中のモヤモヤがはっきりしてくる、というのが自己明確化効果である。

自己開示できる相手がいない場合、筆記による自己開示が有効だ。例えば、腹が立つこと、ムシャクシャする思い、気になっていること、不安なこと、悩んでいることなどを紙に書く。筆記による自己開示にもストレス緩和効果があることは、実験により証明されている。

こうしたストレス対処の方法や自己開示のストレス緩和効果について、生徒に教えてあげる必要があるだろう。同時に教師自身も、意識して情動志向型のストレス対処をするように心掛けたい。

(おわり)

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