【働き方改革のキーパーソン(13)】ソーシャルワークに関わる事務職員

埼玉県川口市立小谷場中学校事務主査 栁澤 靖明
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小学校で10万6830円、中学校では18万1906円――。これは、文科省が実施している「子供の学習費調査」の2018年度の結果で、公立学校における年間の学校徴収金の平均である。

ここには、給食費や修学旅行費、PTA会費などの各種会費、学用品、制服などの購入代金が含まれる。ちなみに、学校以外への教育的支出額(学校外活動費。具体的には学習塾や家庭教師、文化活動、レクリエーション活動など)は、小学校で21万4451円、中学校では30万6491円となっている。

1998年の中学校における学校徴収金は17万2934円、学校外活動費は26万6588円である。18年と比べると学校徴収金は8972円の増だが、学校外活動費の方は3万9903円も増加している。ここ20年で学校教育費は大きく変わっていないものの、学校外活動費には大きな変化が生じている。

こうしたデータから「教育に対する経済格差が広がっている」と捉えることもできる。経費を負担できる家庭は、子どもの学校外教育に多くの投資をしている。それとは逆に、経費を捻出するのが苦しい家庭も少なくない。

15年のデータで、日本における子どもの貧困率は13.9%で、実に7人に1人の子どもが貧困世帯で過ごしている計算となる。中でもおとな一人家庭では50.8%にも上っている。

この問題への対応策として「子どもの貧困対策の推進に関する法律」や「子供の貧困対策に関する大綱」などが制定・策定され、19年にはその両方共が見直された。大綱では「地域に開かれた子供の貧困対策のプラットフォームとしての学校指導・運営体制の構築」が重点課題とされ、スクールソーシャルワーカー(SSW)の活躍が期待されている。

しかし、SSWが全校配置されていない現状では、学校という組織体でそうした機能を担保するのは難しい。そこで、プラットフォームコンシェルジュとして事務職員に立ち上がってほしい。

事務職員には修学支援制度を担当している人が多い。就学援助や教育扶助(生活保護)制度に精通し、校内組織(教育相談部会など)との連携や校外組織(福祉事務所など)との橋渡しも得意分野だ。特に公立小中学校では、就学援助制度の周知徹底や制度の充実を目標として取り組む事務職員が多い。

いわば、事務職員は就学援助ケースワーカーとして、総括的支援に加えて個別支援にも積極的に関わっていくことができる。現状、学校ではソーシャルワークが十分に機能しているとは言えない。

しかし、ソーシャルワークこそ、子どもの教育を受ける権利を保障していく上で根底にある機能であり、そのことを学校は意識していくべきである。

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