【片付けから始める学校の働き方改革(3)】片付けると残業が減るワケ

学校整理収納アドバイザー 丸山 瞬
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2020年4月、全国の小学校はトリプルパンチを食らった。

一つ目は、新学習指導要領に切り替わったこと。約10年に1回の学習指導要領改訂が実施され、使い慣れた教科書は全て新しくなった。教科書会社が変わった教科は一から教材研究をし直さなければならず、外国語や外国語活動の授業時間数が増加したりプログラミング教育が導入されたりするなど、教員にかかる負担は大きく増えた。

二つ目は、残業規制が設けられたこと。多くの自治体で、残業時間を月45時間までに抑えるようにする旨の条例が施行された。職員に月80時間以上残業させている学校が多い現実を踏まえれば、月45時間以下にするのがどれだけ難しいか分かるだろう。

三つ目は、新型コロナウイルス対策。2月27日に全国の教育委員会と学校に向けて臨時休校が要請された。その結果、多くの学校で3月の授業は丸ごと中止になり、未履修の教科や内容が発生してしまった。

つまり、やることは増えたのに働く時間は減らさなければならないのだ。そんな状況下での新型コロナウイルス対策である。新しい教育が始まろうとしていた矢先の出来事に、現場はヒーヒーだ。残業時間が増加するのは目に見えている。

そこで登場するのが「学校の5S」だ。5Sとは、学校内のモノを徹底的に断捨離して残業を減らすための取り組みである。とはいえ、モノを捨てたり片付けたりするだけで残業が減るわけではない。残業時間は「行事や業務」を減らすことで初めて縮小していく。

片付けると残業が減るワケはこうだ。校内の不用品を数カ月間継続的に廃棄するシステムを作り、職員全員で片付けに取り組む。目に見えるモノを日常的に捨てていくことで、次第に職場には「片付けるとスッキリする」という空気が広がる。

すると、目に見えない行事や業務の精選にも意識が向きやすくなる。そうして教職員からも意見が出始めたらアンケートなどを行い、教職員同士で話し合って縮小・廃止をする行事を考えるのだ。

もちろん、片付けや整理整頓を徹底するだけでも、ある程度は残業時間を抑えることができる。しかし、作業効率を上げるだけだと、熱心な教員は子供のためにいくらでもやってしまう。

一方で、行事をなくせば、当日までの企画・準備など諸々の時間が削減される。教職員の残業時間を減らすことだけに目標を置くのなら、行事を見直すことこそ、最短で最大限の効果が見込めるのである。

ただ、行事こそ教育活動の醍醐味だと考える教職員もいることだろう。そんなときは相手を尊重し、削減を押し付けることがないような配慮も忘れないようにしたい。

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